コストパフォーマンスに優れたpHメーター
凡そ日本のアクアリストに最も使用されているデジタルpHメーターは、マーフィードの『マイクロpHメーター』かと思われます。その理由は単純明快で、“安い”からに他なりません。
オープン価格のためメーカー小売価格は設定されていないものの、実売ベースで5,000~6,000円。安売り店に到っては、3,000円台で販売されることも珍しくありません。他社製品が10,000~20,000円であることを鑑みれば、性能はともかくとし、『取り敢えず試してみるか!』的な感覚で触手が伸びる価格帯だからでは。
また、最も広く普及しているテトラのpHテスト試薬が、定価ベースで\1,660(税別)で50回分の容量。1回辺りの単価が、35円(実売ベースでみれば、もう少し安いでしょう)。週に1回の換水時にしかpHを測定しないユーザーであれば、
7日×50=350
凡そ1年間使用できることになります。
この場合、仮にマイクロpHメーターの寿命を1年に設定すると、単純に1回辺りの測定単価はテスト試薬に軍配があがります。
しかし、複数本水槽があったり、特定種の繁殖を狙っている様であれば、もっと頻繁にpH値を測定することになります。またデジタル表示であればこそ、手軽に測定が可能。と、いった魅力も考慮しない前提の上です。
参考までにテスト試薬の1回辺りの単価を35円とし、pHメーターの購入価格を4,000円とすると、一年間で約114回以上pH値を測定するようであれば、pHメーターの方が割安になる計算です。そのような状況のユーザーであれば、断然pHメーターの方がコストパフォーマンス的に優秀です。
上記とは別に、別売りの校正液(正しいpH値に校正させるための液体)が必要になります。
では、気になる使用感を。
外寸、重量は、他社のpHメーターと大差はありません。しかし、廉価設定だけあり、シンプルなデザインであることは否めません。測定精度は±0.2pHですが、一般的なアクアリウムに限定した用途であれば、支障を来たす状況は考えられないでしょう。概ねの値を把握して、その変化を捉えることがアクアリウムにとっては重要です。拠って、多少の誤差であれば、それ程気にする必要はありません。
さて、実際に使用してみた感触は、表示速度が今ひとつ遅い。測定値が安定するのに時間がかかる。また、他社製品に比べて、センサー(ガラス電極)部分の寿命が短いようにも感じました。※1
センサー部分が本体と一体式のため、センサーが故障した場合、使い捨てになってしまう点もマイナス要因と言えるでしょう。
この様に書いてしまうとデメリットが多いようにも感じますが、凡そのpH値を手軽に把握したいといった目的の場合、これらデメリットを加味しても、コストパフォーマンス的には納得のいくものでした。
拠り高い精度や機能、快適な使用感を求めるのであればお奨めできませんが、手軽にpH値を図りたいのであれば買いだと思います!
※1 長時間使用せずにガラス電極部分を乾燥させてしまうと、測定値が不安定になったり、正しい値を表示しなくなる。センサー部分を常に湿らせておかないと、性能が著しく低下します。
測定範囲 | 0.0~14.0 |
精度 | ±0.2pH |
測定可能水温 | 0~50℃ |
アルカリ電池 | A76 1.5V×4 |
電池寿命 | 約300時間 |
サイズ | 172×32×15mm |
重量 | 約60g |
校正液 | pH7.0 |
標準液測定方式 | ガラス電極式 |
発売元
・株式会社マーフィード
関連リンク
・PHモニター P-1
・水質の管理