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無印良品やイケアなどとの連携で、団地に個性を!(2ページ目)

団地というと、古くて画一的といった印象を持つ人がいるかもしれません。ところが、若者に人気の無印良品やイケアなどのブランドと連携するなどで、団地の1室が今風におしゃれに、かつ自分らしくレイアウトできるように生まれ変わった事例がたくさんあります。

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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東急ハンズ、TSUTAYA、journal standard Furnitureとのコラボ展開も

2015年に、UR都市機構は人気ブランドとのコラボ事例を増やしています。

神奈川県の金沢シーサイドタウンの1団地では、東急ハンズのヒントとURの知恵が詰まった「3636+(ニジョー・プラス)」を展開しています。改修の際に、2畳分の押入れの空間を自然木の「Function KIT」として用意し、3タイプの使い方を提案しているほか、リビングの壁一面を30種類の「Wall Tapestry」から好みのものが選べるセミオーダー住宅にしています。
東急ハンズ×UR(並木一丁目第二団地)

「東急ハンズ×UR(並木一丁目第二団地)」の事例。 Function KIT Bタイプは、子ども用の2つのデスクを設置したもの。ほかに、子どもの秘密基地部屋(Cタイプ )や大人の多機能空間(Aタイプ)がある。

一方、福岡県の大名第三団地では、2015年1月に「UR賃貸住宅×TSUTAYA」として、TSUTAYAとコラボしたモデルルームを公開し、6月には「UR賃貸住宅 × journal standard Furniture」としてjournal standard Furnitureとコラボしたモデルルームを公開しています。いずれも、若い世代向けに和室の多い部屋をいかに個性的に快適に暮らせるかという、レイアウトや暮らし方の提案になっています。
TSUTAYA

TSUTAYAとコラボしたモデルルーム

journal standard Furniture

journal standard Furnitureとコラボしたモデルルーム

では、こうした若者に人気のブランドとコラボレーションする、双方のメリットはなんでしょうか?
「ブランドサイドには発信力がありますから、連携することでこれまで団地に関心がなかった若い世代が、団地に来てみようということになって、団地を再評価してもらうきっかけになります。連携するブランド側にとっても、見学に来た人が家具などを購入したり、これまであまり来店のなかった中高年層の方に来店してもらえるようになるなど、相乗効果が生まれています」と、UR都市機構・住宅経営部ストック活性化チームリーダー・倉上卓也さん。

ブランドの提案力が、古くて画一的な印象を持たれがちな団地のイメージを刷新し、住みたいと思わせる動機づけになっている好事例といってよいでしょう。

自分らしく手を入れられる「DIY住宅」も展開

無印良品やイケアなどの暮らし方の提案が若い世代に評価されたように、自分たちも関与して自分らしい居住空間に作り上げたいという人が増えています。

通常の賃貸住宅は居住者が手を入れることができませんが、URでは、賃貸でも自分で改装できるよう「DIY住宅」も提供しています。DIY住宅では、基本的な部屋の改修は行うものの、内装仕上げなどは前のままで部屋を提供し、入居者に自分自身でDIYを実施してもらった後で、住んでもらおうというものです。

DIY事例1

「DIY住宅(かわつるグリーンタウン松ヶ丘モデルルーム)」 和室の天井や壁のクロスを張り替え、襖を交換し、元の畳の上に2色の畳フロアーを交互に置いて、粋な和室に。

DIY事例2

「DIY住宅(かわつるグリーンタウン松ヶ丘モデルルーム)」 洋室の壁をピンク色の水性ペンキで塗装し、花のウォールステッカーを貼るだけで、女の子用の子ども部屋らしく。

DIY住宅の場合、3カ月間のDIY施工期間が設けられていて、その間に「DIY住宅の手引き」に沿ったDIY計画を提出し、承諾されればDIYを実施します。この間の家賃は払う必要はありません。もちろん、ルールに則る限りは退去時に元に戻せとも言われません。また、DIYの一部をプロの事業者に自己負担で依頼することも可能です。2011年から一部の団地で導入したもので、今では31団地約180戸の部屋が提供されています。

また、民間の賃貸住宅で普及しているような、壁面などの一部に限定してDIYやカスタマイズができるタイプ(「プチDIY」、「カスタマイズUR」)も用意されていて、関西の16団地約70戸、東京都の3団地約20戸が提供されています。

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高度成長期に住宅不足解消のために大量供給された団地。効率を重視するため、当時は革新的であったものの画一的な間取りや設備が採用されていますから、今の住まい手には旧式な印象を持つこともあるでしょう。でも、人気ブランドとの連携やDIYの推奨などによって、住まい手自身が部屋をつくりこむヒントを得ることで、個性的で快適な暮らしを実現できるという事例を増やしています。

最近の若い世代の中は、団地の持つゆったりとした敷地や緑の多さなど、時間が培ったものの価値を評価する人も多くなっています。部屋は工夫次第で個性的にできるとなれば、もっと団地が身近に感じることになるでしょう。

取材協力・写真提供/UR都市機構

■シリーズ記事
○団地再生の取り組み(1)
「団地からDANCHIへ」イメージ一新の団地も登場
○団地再生の取り組み(3)
団地に高齢者も若者も!多世代交流&地域連携で活性化
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