引退せずに常にトップを走り続ける大スター
2000年代に最高峰クラスで7度のチャンピオンを獲得したロッシは、次なる目標として4輪レースのF1やラリーへの転向がたびたび噂されてきました。既に2000年代の後半から囁かれてきた引退の噂。2010年には転倒時に脛骨を骨折し、自身のキャリアで初めて複数のレースを怪我で欠場することに。ヴァレンティーノ・ロッシ 【写真:ヤマハ発動機】
しかし、ロッシはF1に転向することも引退することもなく、2011年にはヤマハからドゥカティに移籍し、MotoGPライダーとしてのキャリアを継続しました。ただ、ドゥカティの2年間は1度も優勝を飾ることができませんでした。イタリア人のスーパースターだけに母国のメーカー、ドゥカティでキャリアを終えると思われたロッシでしたが、2013年にはヤマハに再加入し、オランダGPで3年ぶりの優勝を飾ります。
2010年代になるとMotoGPクラスではホルヘ・ロレンゾやマルク・マルケスなど新世代のライダーが台頭するようになってきました。MotoGPマシンの電子制御の進化より、躊躇することなくアクセルを開けていける若いライダー達が経験豊富なベテランたちを上回るようになり、世代交代が一気に進んでいったのです。
マルケス(ホンダ、前)とバトルを展開するロッシ(ヤマハ、後) 【写真:MOBILITYLAND】
ロッシも例に漏れず、そろそろ本当に引退かと噂されるまでになっていました。気がつけば、70年代生まれのMotoGPライダーは彼ただ一人の最年長ベテランに。その大ベテランが今の電子制御バリバリのMotoGPをリードしているのですから、これはもう伝説以外の何物でもありません。
ロッシの熱い走りは見逃せない
500ccクラス時代から数えて16シーズンに渡って最高峰クラスを戦っているヴァレンティーノ・ロッシ。このキャリアの長さだけでも充分にレジェンドと言えるものです。そんなロッシの今季は4勝を挙げ、雨に翻弄されたサンマリノGP以外は全戦表彰台に登る好調ぶりで、既に3度獲得している年間最多表彰台記録=16戦の更新もかかっています。今季の好調ぶりで、最近は引退の噂なんてどこへやら。ロッシは今季の自身8度目のチャンピオンに向けて、ランキング首位で残り4戦へと挑みます。ロッシの走り 【写真:ヤマハ発動機】
ただ、ロッシにとって実はツインリンクもてぎは意外にも優勝が少ないサーキットです。2008年にチャンピオンを決定する優勝を飾ったのが、MotoGPになってからは唯一の優勝(500cc時代は2001年優勝)になっており、既に7年もロッシの優勝が日本では見られていないことになります。そういう意味では、ロッシが優勝を飾るとなると盛り上がりは必至ですね。今年はヤマハにとって創立60周年の記念すべき年の地元グランプリになるので、力が入るのは当然です。
偉大なるチャンピオンであり、最年長の大ベテラン。まさにバイクレース界の神様的存在のヴァレンティーノ・ロッシの走りに大いに注目して楽しみたいものです。
【関連リンク】
MotoGP日本グランプリ公式サイト(ツインリンクもてぎ)
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