世界的仏教哲学者とMoMAで知られる国際的建築家のコラボレーション
世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の金沢観光スポットランキングで兼六園、忍者寺(妙立寺)、ひがし茶屋街、武家屋敷などと並び、常に上位にランクインしている鈴木大拙館。金沢が生んだ世界的な仏教哲学者・鈴木大拙への理解を深めると共に、来館者自らが思索する場とするために金沢市が2011年に開設した文化施設です。設計したのは金沢出身のモダニズム建築家・谷口吉郎を父に持つ、金沢に所縁が深い世界的な建築家・谷口吉生氏。
周囲に広がる緑豊かな本多の森公園を借景に、谷口氏をして「私がやった美術館・博物館の中で一番小さく、一番難しかった」と言わしめた、鈴木大拙の世界観を巧みに具現化した空間は一見の価値あり。
ガイドブックやメディアで大々的に取り上げられることは少ないものの、実は口コミ評価4.5、トラベラーズチョイスアワード2015(日本で人気の美術館・博物館ランキング第8位)を受賞したほどの隠れ人気スポットです。
禅文化を広く海外に知らしめた、近代日本最大の仏教者・鈴木大拙
1870年(明治3年)、金沢に生まれた鈴木大拙は日本の禅文化を海外に広め、近代日本最大の仏教者と称される世界的にその名を知られる仏教哲学者。ケンブリッジ大学やハーバード大学、プリンストン大学、コロンビア大学など名だたる一流大学で仏教思想の講義を行い、ヨーロッパ各地で講演活動をした大拙はユングやハイデッガーとも交流があり、欧米では彼のアップル創始者スティーブ・ジョブズと30年に及ぶ交流で知られた乙川(知野)弘文をアメリカに呼び寄せた鈴木俊隆(1905-1971)と併せて「2人の鈴木」と呼ばれています。