平屋建て住宅というと、従来まではかつては「高齢者向けの住まい」というイメージが強かったのですが、近年では若い方々にも人気が高まっています。今回はその秘密を解き明かしつつ、メリットについても確認していきます。平屋建て住宅は「住まいの基本形」ともいえるため、住宅のことを一から考え直す機会にもなるはずです。

平屋建て住宅の人気が高まっているのはなぜ?

平屋建て

平屋建て住宅の人気が高まっている。「親子3人で住むのだから、そこそこの広さで大丈夫」と割り切れるのだったら、様々なメリットがあるため皆さんの有力な選択肢になるのではないか(クリックすると拡大します)

皆さんは「家をイメージしてください」と言われたら、2階建て住宅を頭に思い浮かべるのではないでしょうか。イラストなどで使われているのはほとんど2階建てですが、これは現在、我が国の住宅の形態で最も多いのが2階建てだったからだと思われます。

ではそれはなぜでしょうか。それは私たち日本人の家族構成やライフスタイルに最も適したかたちが2階建てだったからにほかなりませんです。しかし現在では日本人の家族構成やライフスタイルは大きく変化しています。

 
総務省統計局のホームページによると、2010年(平成22年)の一般世帯の世帯人数は、次のようになっています。

1人:16785世帯/2人:14126世帯/3人:9422世帯/4人:7460世帯/5人:2572世帯

一方、30年前の1980年(昭和55年)は次の通りでした。

1人:7105世帯/2人:6001世帯/3人:6475世帯/4人:9070世帯/5人:3982世帯

30年前は1世帯4人家族が最も多かったのが、現在では1世帯の少人数化が進んでいることがここからよくわかります。注目すべきは子育てが多いと思われる3人世帯と4人世帯。2010年は1980年と比べ、前者は増え後者は減っています。

近年平屋建て住宅への若い方々による人気が高まっている背景にはこのことが大きく影響していると思われます。要するに、2階建て以上の住宅のように必要以上に広い住宅を求める層が減っており、「そこそこの大きさの平屋建て住宅でいいじゃない」と考える人たちが増えているかもしれない、とも考えられるのです。

平屋建て住宅にはどんなメリットがあるのか

こうした現状を把握した上で、では平屋建て住宅というのがどのようなもので、どんな暮らしができるのか、改めて整理してみたいと思います。第一は「住まいの基本形」であるということです。

俯瞰

平屋建て住宅の魅力の一つに、周囲に対する圧迫感が少ないということがある。通風や採光に優れた街なみになり、分譲地「星と時のVillage」内を落ち着いた景観とする役割も担っている(クリックすると拡大します)

このことは、なぜ2階建て以上の住宅があるのかを考えるとわかりやすいと思います。要するに家族が増えるとその分の居住空間が必要になるため、上にスペースを求めるわけです。そうすると、耐震性の確保など様々な問題が発生します。

平屋建て住宅の場合は上に屋根があるだけですから上部の重量が軽く、結果的に2階建て以上の住宅に比べ耐震性の確保についてそれほど神経質になる必要がありません。このことは建築コストが割安になる可能性を秘めています。

次にワンフロアで暮らせるということが挙げられます。2階建て以上の住宅には当然階段があって、それを上り下りする必要があります。若い頃は特段苦になりませんが、高齢になり身体が不自由になると階段の上り下りに苦痛を感じることがあります。

このことは、住まいを長く使うという点で不利になります。また、安全・安心の面でもそうです。つまり、平屋建て住宅というのは、長く安心・安全に暮らすという点で大変メリットが大きいともいえるわけです。逆にいえば、住宅は上方向に伸びるほど、様々な難しさが生じるのです。

一方で平屋建て住宅は居住スペースを平面に求めるわけですから、敷地という制約を強く受けます。ですから、同じ面積の住宅を平屋建てと2階建てで比較すると前者の方が高くなるケースもあり得ます。中でも、土地から購入する場合はそうです。

ただ、同じ形状の同じ面積の土地に建てるという条件であれば、2階建てより平屋建ての方が割安になります。というのも、平屋建ての方が居住面積は確実に小さくなるからです。このあたりが平屋建て住宅の一般的なメリットになります。

次のページでは、先日私が取材した分譲住宅地に建てられている平屋建て住宅を事例にそのメリットを考えていきます。