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必見!繊細な米のアート。マレーシアでディパバリ体験

多宗教・多文化の国、マレーシア。民族それぞれが、自分たちの伝統や宗教観を大切に暮らしている国です。お祭りもそのひとつ。民族ごとに祝う日が異なり、祝う方法も違います。今回は、ヒンズー教徒のお祭り、ディパバリに注目。多色使いの神様を敬う宗教らしく、この時期のマレーシアは、オレンジ、緑、黄色、紫などのカラフルな色に染まっています。

古川 音

執筆者:古川 音

マレーシアガイド

ヒンズー教徒にとっていちばん大事なお祭り、ディパバリ

ブリックフィールズ

ディパバリの2週間前ぐらいから、インド人タウンには、ディパバリグッズが多数売られている

インド系民族

マレーシア人口の約6%がヒンズー教徒。インド系民族の多数派を占める

多宗教・多文化の国、マレーシア。民族それぞれが、自分たちの伝統、宗教観、文化を大切に守りながら暮らしている国です。お祭りもそのひとつ。民族ごとに祝う日が異なり、祝う方法も違います。各民族のいちばん大事なお祭りは、国を挙げてのお祝いになり、全国民の祝日に。マレー系民族の「ハリラヤ」、中国系の「中国正月」、インド系の「ディパバリ」が、これにあたります。今回は、本国インドでも重要なお祭りディパバリをマレーシアで楽しむポイントをお届けします。

ディパバリを象徴するモチーフは、ランプ

グリーティングカード

ディパバリに送るグリーティングカード。本国インドの神話によると、善の象徴であるクリシュナが悪に勝利した日、たまたま新月だったため、町は暗闇に包まれていた。そのため町の人はランプに火を灯して祝い、そこからオイルランプの灯が祭りの象徴となった

インド暦の7番目の月初め、日本の暦でいうと毎年10末~11月中旬にディパバリは行われます(2015年は11月10日)。本国インドでは、ヒンズー語でディワリと呼ばれていますが、マレーシアでは、サンスクリット語でディパバリ(Deepabali)と表します。

ディパバリとは“光の列”という意味で、“光が闇に勝利した”ことを祝うお祭りです。そのため、ヒンズー寺院や信者の暮らす家にはたくさんのランプに光が灯され、とても幻想的な景色になります。

伝統的なインド菓子を販売する屋台がずらり!

お菓子屋台

ディパバリに欠かせない伝統菓子。この時期、露店で自家製のお菓子を販売する人が続々現れる


インド服

子供用の服。お祭りに合わせて、キラキラと装飾の付いたものが多い

ディパバリは、日本のお正月によく似ています。新年を迎える気持ちで、前夜までに部屋の大掃除をし、洋服を新調して、家族みんなでお祭りの当日を迎えます。お祭りの期間中は、家族や親せきで食事をしたり、寺院にお参りをしたり。日本のお正月と同じようにグリーティングカードやお年玉の習慣もあります。

ただ、比較的静かな日本のお正月と違って、ディパバリは騒がしくて派手! ディパバリの前夜に鳴り響くのは、爆竹や花火の激しい音。ヒンズー寺院は花火のもくもくとした煙に包まれながら、「ハッピーディパバリ!」と祝うのです。

また、ピカピカに磨き上げた家やお店には、派手な飾りつけをします。可愛いパーティールームのように、キラキラと輝く電飾やビビッドな色使いのデコレーション。オレンジ、紫、黄色、緑などの色のパワーが、幸運の神様を家に呼び込むのです。

なお、ディパバリに向けて物を購入することは“縁起が良い”とされ、ゲンを担ぐ意味でも、この時期、新しい洋服や新しい電化製品などの購買に励むとか。町のあちこちでディパバリセールを行っているのは、このためです。もちろん観光客も購入OK。インド系の食器、パンジャビやサリーなどの洋服、刺繍の美しいインドの生地をお得な値段で買うことができます。

繊細で美しい米のアート「コーラム」

ライスアート

ライスアート「コーラム」。ショッピングモール、インド系スタッフの多いホテル、会社など、あらゆる場所で見ることができる

ライスアート、コーラム

孔雀などが縁起のいいモチーフが描かれたライスアート。一見の価値があり!

さて、マレーシアのディパバリを彩る装飾のひとつで、ぜひ見て欲しいのが、「コーラム(Kolam)」とよばれるライスアート。一粒一粒に色を塗ったお米で、地面に繊細な絵を描いています。立体的で、繊細なデザイン。柄のひとつひとつがすべて米粒だなんて信じられない! 大きいものになると直径3メートル近くになり、気の遠くなる作業時間がかかりそうです。この時期、マレーシア全土のショッピングモール、ホテルや会社の玄関先などに飾られています。

コーラムは南インドから伝わった文化で、この場所に幸運が訪れますように、という願いが込められています。砂絵に似ていますが、お米を使うのが大切なポイント。理由は、お米を食べにやってくる鳥や蟻にも幸せのおすそ分けを、という意味だそう。自然と一緒に祝うお祭りなのです。

マレーシアのディパバリ。一説によると、本国インドよりもインドらしい文化がマレーシアに残っているとも。異国で暮らす民族のほうが、祖国をより深く感じたいと願っているのかもしれません。お祭り当日から3日間ほどは、インド系のお店はクローズしているので、旅行プランを決める際はその点だけご注意くださいね。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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