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分譲開始から23年経った分譲住宅地が魅力的なわけ(2ページ目)

先日、分譲が開始されてから23年が経過した千葉県内にある分譲住宅地を取材してきました。そこでは、皆さんがこれから住まいを得る、中でも分譲住宅地で住宅を購入・建築する上で考えておくべきことが満載でした。この記事でそのポイントを紹介します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

佐倉染井野には、今年7月末現在で人口6773人、2473世帯の皆さんがお住まいになられているそうです。高齢化率は市内では一番低い20.6%(市内は27.8%)で、とはいえ今後は急速に進んでいくと想定されています。人口は減少傾向にありますが、世帯数はわずかに増加傾向だといいます。

住民組織が街の現状や課題を詳しく把握

「親元を離れ染井野を出た子ども世代を呼び戻すことができるかを含め、新しい若い世代を招くことができるかが染井野地区のこれからの最大の課題になる」といいます。

グリーンベルト

住宅街を印象づけるグリーンベルト。高さや樹種、門柱なども揃えられている。これらを維持し続けるため、住民自身が積極的に取り組んでいる(クリックすると拡大します)

これは取材でいただいた「佐倉染井野 景観・まちなみ・住環境維持活動」という冊子からの引用ですが、すごいのは人口や高齢化の状況把握、さらにはこれからの課題分析を住民の皆さんが主体的に行い、共有しているということです。

私も様々な「良質な街」を見てきましたが、これほどのことをしているケースに初めて出会いました。さて、分譲開始から23年も経つと、世の中の変化に合わせて街のあり方が変化するものです。

例えば、23年前には普及していなかった太陽光発電システムを取り付けたいとか、高齢化に体操するため住宅をリフォームしたいといったケースもあります。高齢化でさらにいえば、体が不自由になり清掃活動や植栽の剪定などをできなくなる住民の方も出てきているはずです。

要するに長く住んでる以上、住宅や宅地に手を加えたいなどというニーズが高まったり、やむを得ない事情で景観維持の活動に参加できなくなる住民の方も現れるわけです。そのことにより景観を損なう恐れがあるため、対応する新たなルールづくりが必要になるのです。

ですから、この分譲地の皆さんは数年をかけて、住民の中でアンケート調査を行い実態を把握し、説明会や住民総会を行い合意を形成して、新たな緑地協定、建築協定を作り、今の時代に適したルールを確立したそうです。

今回、街の中を歩いてみて感じたのは、洗濯物を通りから目立たないところに干していたり、エアコンの室外機も目に付くところにないなど、非常に住民の方々の景観に対する意識が高いこと。ですので、「佐倉染井野は周辺よりは地価の下落が少なくすんでいる」(コーディネーターの浅川氏の文章より)そうです。

より良い分譲住宅地選びのポイントとは?!

ところで、ここからが本題。私たちはどのようなポイントで分譲住宅地を選ぶべきなのか、ということです。この分譲住宅地の事例は大変参考に富んでいますが、ここまで徹底されているのは珍しいこと。ですが、近年では、建築協定や緑化協定、景観協定などを最初から設定して街づくりをしているケースは増えています。

手引き書

良好な住環境を長く守り、ひいては資産価値を維持するため、佐倉染井野ではこのような冊子を作り、住民それぞれが参加して街を運営している(クリックすると拡大します)

いずれにせよ、購入時(新築時)だけでなく、将来にわたって資産価値が下がらないようにするための仕掛けがあること、そのために住民の皆さんが結束できる環境にあるのか、ということをしっかりと知識を得て、見極めをした上で選択することが大切になるのではないでしょうか。

特に街づくりでは緑化が大変重要な要素であり、それは緑化をすることで住民同士につながりが生まれ、それは災害時などの混乱の中で助け合いが期待できるからです。ですから、もし分譲住宅地での住宅購入・建築を考えておられる際にはしっかりとこの点についてはチェックしてみてください。

既にある大型分譲住宅地では街の中を歩いて雰囲気を知り、できれば住民の方々にどんな街なのか確認してみましょう。また、新たな分譲住宅地だったら、販売を担当する事業者に資産価値維持の取り組みについて詳しく説明してもらうと良いでしょう。

で、ここで改めて考えていただきたいのが、「住むことには必ず責任が伴う」ということです。単に住宅を建築・購入して終わりなのではなく、そこで住み続ける以上、必ず何らかの責任を負わなければいけないのです。

住民の方々がその責任を23年にわたって果たしてきたから、佐倉染井野の分譲住宅地は魅力的なのです。「ローマは一日にしてならず」といいますが、それは街づくりにも当てはまるというわけです。
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