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『民王』を“国民的深夜ドラマ”と呼びたい6つの理由

深夜ドラマと言えば、ちょっとディープだったりマニアックだったりの印象ですが、年齢を問わず楽しめる『民王』は、国民的深夜ドラマと言えるかもしれません。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

この夏、金曜日の夜が楽しくてしかたなかった方が多いのではないでしょうか。政治通の実年世代から、小ネタ ワールドの楽しみ方を知っている若い世代まで、幅広く楽しめる『民王』。その楽しさを考えてみました。

理由1:「新しい政治ドラマ」が楽しい

政治ドラマは、刑事ドラマや探偵ドラマに比べて作品の数が多いとは言えません。さらに『民王』のように総理大臣が主役のドラマは数えるほど。しかし、どれも粒ぞろいの素晴らしい作品ばかりです。

『総理と呼ばないで』も『CHANGE』も、政治の熱い部分とギスギスした部分の両方をうまくからませ、視聴者を楽しませながら、しっかりメッセージを伝えた名作と言えます。

『民王』は今までの作品に比べると大胆な変化球ですが、ドタバタと個性的な人物たちが、ぶつかったり笑い合ったりしながら、懸命に働く姿は胸に響きます。

理由2:まさかの連続が楽しい

『民王』は常に視聴者の予想を上回る展開を見せてくれました。脚本は『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』も手がけた西荻弓絵。変化球のバランス感とユーモアセンスには定評がありますが、あそこまで「えぇ!!」の展開が続くとは思いませんでした。

総理大臣の武藤泰山(遠藤憲一)と息子の翔(菅田将暉)の入れ替わりに続き、ライバルの政治家蔵本志郎(草刈正雄)と娘のエリカ(知英)も入れ替わる。それは科学技術兵器によるもの。翔が銃弾に倒れる。しかし三途の川で引き返し生きかえる。裏切り者は側近中の側近……など「えぇ!!」は続くのですが、脚本のコメディとシリアスの振れ幅が大きいので、「まさか」の事態にもコメディとシリアスが混在し、特別な可笑しさを生んでいます。週末の深夜のゆるんだ感覚もさらに可笑しさを刺激しているのかもしれません。


理由3:新しさとなつかしさが楽しい

政治ドラマなのにコメディ色が強い。深夜ドラマなのに誰が観ても楽しめる。それだけでも新しさがあって楽しいのに、さらに「なつかしさ」まで仕掛けられています。

チープなヘルメットはマグマ大使、『仮面ライダーW』で菅田将暉が演じたフィリップの名台詞も登場し、居酒屋でみんなが歌うのは『青春貴族』(1974年の青春ドラマ「われら青春!」の挿入歌)。

オマージュ満載であるものの、そのイチイチに気づかなくても120%楽しめるドラマであるところが素晴らしいと感じます。
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