大和は 国のまほろば
長岳寺から先は、田園風景の中を歩いて行きます。所々に柿本人麻呂など、万葉歌人の歌が刻まれた歌碑が設置されているので、眺めながら歩を進めます。歩きながら大和盆地の周囲をかこむ青々とした山々を眺めていると、
大和は 国のまほろば
たたなづく 青垣
山ごもれる 大和し うるはし
(大和は素晴らしいわが故郷。幾重にも重なって青々とした垣をなす山々。その山々に抱かれている大和は、何と美しいのだろう)
という、日本武尊が遠征先で亡くなる前に、故郷である大和を思い浮かべて詠んだ望郷の歌が思い浮かび、心にしみる思いがします。
この先、道の途中には、自衛のために周囲に堀をめぐらせた中世の集落の名残である「竹之内環濠集落(かんごうしゅうらく)」などもあります。
さらにその先にある、奈良の春日大社とも縁が深い夜都伎(やとぎ)神社は、山の辺の道の中でも私が最も好きな場所のひとつ。
集落から少し離れた田んぼの中の、こんもりとした神社の森。その入口に立つ石の鳥居や美しい社殿の素朴な雰囲気など、なんともいえない風情があります。
古代氏族、物部氏ゆかりの石上神宮
さて、ラストスパートです。東海自然歩道の道標に従って歩いて行くと、やがて道は内山永久寺跡へ。内山永久寺は、平安時代末に創建され、かつては石上(いそのかみ)神宮の神宮寺として大伽藍(がらん)を誇っていましたが、明治はじめの廃仏毀釈によって廃寺に。今は、庭園の一部だった池がわずかに残るのみです。
この先で、道は石上神宮の境内に通じます。この神社も我が国有数の古社の一つ。蘇我氏と権勢を争った古代氏族・物部(もののべ)氏の総氏神だったという歴史があります。
石上神宮には、数多くの社宝がありますが、中でも有名なのが国宝の『七支刀(しちしとう)』。剣身の銘文から、百済で倭王のために作られたものではないかと推定されています。
石上神宮から今回のゴール天理駅までは、およそ3km。駅までの道沿いにある、天理教教会本部など天理教団の巨大な建築物には圧倒されます。
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■石上神宮
ホームページ → http://www.isonokami.jp/
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