SNS業界の再編はあるのか?
Facebookやtwitterはすっかり私たちの生活に定着しました。しかし、今でも新たなSNSは続々と生み出されています。Facebook誕生時のように、一度火が付けばあっという間にシェアが逆転する可能性は十分あります。次に人気となるSNSはいったいどんなものでしょうか?今期待のSNSをまとめてみました。
アンチFacebook!広告のない「Ello(エロー)」
Elloのポリシーは明確で、Facebookと異なり「広告をのせない、個人データを第三者に販売しない」という点です。また、実名登録も不要です。個人情報の販売、アフィリエイトへの誘導など、SNSのプライバシー的な問題に真っ向から異議を唱えています。ただし、広告収入に頼らないElloがどのような収益プランを設けるかは今のところ明確になっていません。「使用料は一切なし」を貫くつもりとしていますが、有料で追加できるプレミアム機能の提供は始める可能性はあるそうです。今後SNSのプライバシー侵害に対して反発が高まれば、Elloのようなモデルが力を増していくことが予想されます。
お金を稼げるSNS「Tsu(スー)」
Tsuはお金を稼げるSNSとして注目を集めています。具体的にいうと、広告やスポンサーから得た売上の10%が企業(Tsu)の取り分となり、残りの90%はコンテンツ作成者やネットワークの成長に貢献(ユーザーを新たに招待)したユーザーに還元されます。つまり、広告収入に繋がるコンテンツを投稿したユーザーが一番多くの収益を得ますが、そのユーザーを招待したユーザー、さらにはその上のユーザーも収益の一部を得る事ができます。ただし、ネットワークビジネスやマルチ商法との類似が指摘されており、ユーザーがどれだけこうしたモデルを受け入れるかは未知数といったところです。
分散型SNS「Diaspora(ディアスポラ)」
SNS上で会社の人間関係とプライベートの人間関係が一緒くたになっており、投稿一つに気を使うという経験はありませんか?Diasporaは「アスペクト」と呼ばれる編集機能が充実しています。これを用いて家族、会社、趣味の友だち、親友など、属性によってリストを分けることが可能です。アスペクト毎に閲覧を制限できるので、リアルにおける人との距離感をそのままネットに移行させることができます。ただこうした機能は(操作性はともかく)現行のFacebookにも搭載されており、FacebookからDiasporaへの移行への決定的な動機づけにはなりにくいかもしれません。
交流しないSNS「Tumblr(タンブラー)」
SNSでの人間関係に疲れる、いわゆる「SNS疲れ」が話題になっていますが、そうしたわずらわしさから解放されたい人におススメなのがTumblrです。TumblrはSNSとしては目新しくはありませんが、近年利用者数を徐々に増やしているサービスです。その理由として、デザインがオシャレでカスタマイズしやすく、ブログのデザインテーマが豊富なのでブログ的な利用がしやすいことが挙げられます。投稿者は気に入った画像や文章を自分のページにどんどん貼り付けていきます。他の投稿者がその投稿を気に入って「フォロー」すると、自分のダッシュボード(Facebookでいうニュースフィード)にその投稿が流れてきます。言ってみればお気に入りの画像や文章をメモするための雑記帳のようなSNSで、他のSNSと違って自分の趣味嗜好を追求することができ、コミュニケーションに主眼を置かない使い方ができます。フォローしている相手とフォロワーが他人には見えないところも特徴的です。
SNSでの行動はもはやリアルな人間関係に影響を与えるほどです。自由に誰の目も気にせず振る舞うというネット本来の醍醐味を味わいたい人にはうってつけです。
モノに特化したSNS「Sqore(スコア)」
アメリカ発のSNSが多い中でこちらは日本発のSNSとして注目されています。サービスの内容をひと言でいうなら「バーコードを使ってモノを軸に人と人とをつなぐ」です。カメラをバーコードにかざすとカメラ画面上にその商品に対するコメントが表示され、ユーザー自身もコメントを投稿することができます。買い物体験にSNS機能を組み合わせるという試みであり、買った人・欲しい人・作った人の結びつきを実現します。買い物をする際にネットで口コミをチェックするという行為は一般的になってきていますが、そうしたニーズに特化したSNSといえます。
オープンなSNSとクローズドなSNS
myspace、mixi、Facebookなど、SNS業界は覇権争いを繰り返してきました。今後も同じような競争が続くかどうかはわかりませんが、新たにリリースされているSNSは「Facebookにとって代わる」というよりも「Facebookでは満たせないニーズを満たす」という方向性にシフトしている印象を受けます。打倒ではなく共存を目指しているとも言えます。今後のトレンドとしてSNSは「匿名制・クローズド」なものが人気を呼ぶと言われています。SNS疲れへの反動と言えなくもありません。
しかし、それがそのままFacebookに代表される「実名制・オープン」なSNSの衰退を意味するとは言えません。ユーザーが自由に実名と匿名を使い分け、オープンな空間もクローズドな空間も楽しむ時代が来るのではないでしょうか。