10年前よりひと部屋分小さくなっている!?

住宅を建てるときに耐震性や耐久性を気にする人が増え、住宅の性能は年々向上しているようです。しかし、(社)住宅生産団体連合会が毎年行っている調査を分析してみると、ここ10年間、注文住宅はだんだん小さくなっていることがわかりました。

※調査について:(社)住宅生産団体連合会が主要都市圏において調査した「戸建注文住宅の顧客実態調査」の2005~2014年度より抜粋。2014年度の有効サンプル数は4345件。

延床面積

2005年度に142平米だった延床面積はだんだんと小さくなっています


グラフでもわかるように延床面積はどんどん減り続け、2005年度に142平米(42.9坪)だったものが、2014年度では129平米(39.0坪)になりました。両者の差は13平米(3.9坪=7.8畳)。8畳近い部屋が1つなくなった計算です。

では、なぜ日本の家は小さくなっているのでしょうか。考えられる理由は3つあります。

理由1 世帯人数が減っているから

1つめの理由は、家族構成の変化が挙げられます。

世帯人数は毎年減っています。平均3.75人(2005年度) → 3.48人(2014年度)に。これまで標準世帯とされていた「夫婦+子ども2人」という4人家族が減り、子ども1人や夫婦だけの世帯が増えていると考えられます。世帯人数が減ってくれば、住宅が小さくなっていくことも納得できますね。

世帯人数

2005年度に3.75人だった世帯人数は毎年減り続け、2014年度には3.48人になりました


ここで、世帯人数について他の調査データを元に補足説明をしておきましょう。国勢調査によると、すでに2000(平成12)年の時点で最も多いのは1人世帯になりました。2010(平成22)年では、さらに1人世帯が増え、およそ3割に。かなり早いスピードで高齢化や少子化が進んでおり、今後もこの傾向が続けば、注文住宅を建てる世帯の人数はもっと減っていくでしょう。

理由2 建築費が高騰したから

2つ目の理由は、注文住宅の建築費が高くなってきたからです。

平均建築費は2005年度3222万円で、2014年度3310万円となっていて、それほど大幅な上昇ではないように見えますが、延床面積の減少を考慮する必要があります。

延床面積と建築費から坪単価を計算してみたのが下のグラフです。坪単価は75.1万円(2005年度) → 84.8万円(2014年度)と、10万円近く高くなりました。

坪単価

坪単価は一度上昇してから2012年に78.3万円まで下降。その後、大幅に上昇しています


このように建築費が上昇傾向であるのに対し、注文住宅を建てた家庭の平均世帯年収はこの10年間ほとんど増えていません。864万円(2005年度)だった年収は890万円(2007年度)をピークに下降し、2010年度には807万円とこの10年で最低を記録。2014年度は851万円と少し盛り返している状況です。

建築費と年収

807万円と年収が最も低かった2010年度の建築費は3148万円。年収の増えない状況でやりくりしていることが想像できます


理由3 住宅ローンの負担を抑制するため

3つめの理由は、経済的な理由です。

長く年収が伸びないにも関わらず、建築費が上昇して厳しい状況が続いているのは、ここまで紹介した通りです。

調査結果の数値を見てみると、1576万円(2005年度)だった自己資金は1857万円(2007年度)を境に減少に転じて、1480万円(2014年度)に。一方で、2948万円(2005年度)だった借入金は少しずつ増加し、3540万円(2014年度)になりました。年収は増えていないため、住宅ローンの負担を抑えるために、家を小さく(適正な広さに?)してでも建築費を抑えたいという気持ちが働いたという想像もできます。

自己資金と年収など

年収に占める借入金の割合は、2005年度には3.41倍でしたが2014年度には4.15倍になりました


間接的な原因として、家を建てる人の考え方の変化もある

3つの理由のほかに遠因として挙げられるのは、家を建てる人の考え方が変化してきたこと。例えば「うだつを上げる」という言葉があるように、かつて新築は一大事業であり、大きく立派な家を建てることは誇らしいことでした。

この10年を振り返ると、2005年に耐震偽造事件、2008年にリーマン・ショック、2011年に東日本大震災、2014年4月に消費税が8%に。これらは住宅業界にも少なからず影響がありました。

年収が伸びず、自己資金も増やせない環境で家を建てるのは大変です。そうした状況で、多額の住宅ローンを抱えてつましく暮らすより、日ごろの生活を楽しみたいと感じる人が増加。住宅ローンが必要最小限なら、趣味や教育、貯蓄に資金を回せるわけですから、利用頻度の少ない部屋を用意したり、見栄を張ったりする必要はないという考えが一般的になるのも当然のこと。結果的に、建築する家も現実的なサイズになってきたといえるのではないでしょうか。
延床面積は縮小傾向に

この10年で8畳弱の部屋が一つなくなった計算です


また、長い目で見れば、子ども部屋が必要なのは意外に短い期間でしかありません。いずれ、子どもが独立して家族が減ることを考えると、子育て期は間仕切りなどで暮らせるように工夫をすれば、それほど広い家は必要ないという考え方もできるでしょう。

長く快適に暮らすのなら重視したいのは住宅の性能です。耐震性や耐久性はもちろんのこと、2020年までに改正省エネ基準の適合化が義務化されることを考えれば、気密・断熱性を高めることに予算を配分することも重要なことではないでしょうか。

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