テクノポップ/アーティストインタヴュー

CTO LAB.はサイエンス(3ページ目)

新・チロリンに続いては、彼女たちを全面的にサポートしたCTO LAB.のメンバー、岡田徹さん、イマイケンタロウさん、polymoogさんの3人に新譜『3 CYCLES』について語っていただきました。横山宏さんの世界観、ガジェット系楽器解説、トム・レーラー、「いとこ同士」にまつわる逸話など、盛りだくさん。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

トム・レーラーのカヴァー

ガイド:
今回一番「ごれぞ!CTO LAB.」って思ったのは、トム・レーラーのカヴァー「THE ELEMENTS(元素の歌)」です。原曲は、「Major-General's Song」を元素記号で秀逸な替え歌をしたもの。1959年の作品ですが、この人はすごく面白いですね。ハーバード大教授・数学者でもある、弾き語りピアニスト。このカヴァーをしようというのは誰の発想? したためていたアイデアなんですか?

Tom Lehrer - The Elements - LIVE FILM From Copenhagen in 1967 (YouTube)

岡田:
ある日YouTubeでみかけて、これは「CTO LAB.でやるべき曲だ!」とピンときてイマイくん、ポリさんにもちかけました。二人とも気に入ってくれてライヴでのレパートリーに。エンディングでのCTOの人文字ポーズにリハでは時間をかけて練習しています(笑)。

イマイ:
CTO LAB.のサイエンスシリーズという形で今後も展開していきたいですね。

ガイド:
サイエンスシリーズ! 僕も楽しみです。次は化合物(笑)? ビタミン、DNA、薬、コンピュータ、物理、数学…いろいろ妄想が広がります。

「いとこ同士」にまつわる逸話

ガイド:
岡田さんが作曲されたムーンライダーズの「いとこ同士」は、僕も大好きな曲です。『NOUVELLES VAGUES』に収録されたこの曲は、1978年というまだテクノポップ元年くらいの時期にシンセサイザーを全面的に導入した先駆け的な楽曲ですよね。今回、CTO LAB.らしさを出すために特に意識した部分とかはありますか?

岡田:
オリジナルは松武さんにお願いしました。MC-8による打ち込みで、後に彼に聞いた話ではMC-8打ち込みとしては矢野アッコちゃんに次いで二番めの曲だそうです。当時はMIDI(MIDIの登場は1983年)もなくデータは各パートを譜面にしてレコーディングの一週間前にはくださいね、という話しでした。なのでアタマの中で想像しながら譜面におこしました。もちろんmoogのいわゆる「タンス」も登場してます。

セッティングに一時間かけて使ったのは間奏で「キュイーン♪」の2音、世界で一番1音あたりのコストかけてる曲なのです。このエピソード松武さんと二人受けまくってムーンライダーズ結成30周年映画で再現してます。ちなみにメインで使ったのはOberheimだったような記憶が、、。前振り長くなってしまいましたが…CTOでやるにあたってはポリさんでアレンジを進めてもらい、イマイクンとボクが口を出すというフォーマットAのパターンでいきました。このパターンの呼称については、たったいま思いつきました(笑)。

ポリ:
このセルフ(?)カヴァー版については、CTO LAB.がまだ『CTO branch』と名乗っていた最初期からのレパートリーで、結成のきっかけとなった大人の科学マガジン『シンセサイザークロニクル』(アナログシンセSX-150がふろく)の発売記念イベントで演奏するために、SX-150とニンテンドーDS用のソフトシンセ『KORG DS-10』だけで演奏できるようにアレンジをしたものがベースになっています。ちなみにそのイベントで岡田さんがソロパートを弾いてたのは家庭用のミニ鍵盤ポータブルキーボードのロシア向け輸出仕様でした(筐体の文字や音色、内臓リズムパターンがロシア向けにの仕様にアレンジされたもの)。
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