クラシック/クラシックおすすめ新譜CD

2015年9月の、クラシック音楽のおすすめ新譜CD(2ページ目)

2015年9月のオススメはこれ! クラシック音楽の新譜CDの中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介します。

大塚 晋

執筆者:大塚 晋

クラシック音楽ガイド

パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) リヒャルト・シュトラウス:『ドン・ファン』『英雄の生涯』

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■レコード会社からのオススメコメント
2015年9月からNHK交響楽団の首席指揮者に就任するパーヴォ・ヤルヴィ。それを機にこのコンビによる録音プロジェクトが始動。N響に刻み込まれてきたドイツ本流の演奏伝統・重厚なソノリティ、そして現在のN響が備える卓越した機能美や色彩感。その全てを生かすことのできるレパートリーとして選ばれたのが、シュトラウスの交響詩。パーヴォの緻密なかつ大胆な解釈のもと、N響の持つ底力と凄みが発揮された演奏は、シュトラウス作品の本質を鋭く突く。

■ガイド大塚の感想
名演! つくづくパーヴォはすごい。パーヴォらしい引き締まったしなやかな力強さと、絶品の甘美さに満ちている。知らない音が聴こえてくるような解像度の高さも、特にリヒャルト・シュトラウスだと元々が複雑なスコアだけに味わうポイントが多く満足度が極めて高い(明確に表情付けされた「英雄の隠遁と完成」なども言葉を失う迫力)。メロディーと内声の層が別に動き重なり離れする様は、まるで雲の動きで淡く色を変えていく夕焼けの空を連想させる美しさ。それにしてもN響も上手い。各人が確信を持っていて、リヒャルト作品に相応しい自発性の高い演奏が効いている。特に金管はセクションでも見事に音楽が揃っていて、曲の面白さを押し広げている。これは紛れもないパーヴォとN響というコンビだからこそ生み出せたリヒャルト。
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ドゥダメル(指揮)、バレンボイム(ピアノ) ブラームス:ピアノ協奏曲第1番・第2番

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■レコード会社からのオススメコメント
現代を代表する完全なる音楽家ダニエル・バレンボイムと次代を担うホープ、ドゥダメルの豪華共演によるブラームス。バレンボイムが音楽総監督を務めるシュターツカペレ・ベルリンを若手ナンバー・ワンのドゥダメルが振ったライヴ盤。1950年代から活躍し続ける現代屈指の巨匠と、躍進著しい若き巨匠の注目の共演盤です。

■ガイド大塚の感想
ドゥダメルに指揮の機会を与えるなど後援を惜しまないバレンボイムとの共演だが、そのバレンボイムがかなり変わった演奏。テンポは大きく揺れ、強弱もあからさまだったり、逆に表情が薄いところも……。マゼールにも似たものを感じるが、本当に天才で何でもできてしまって毎回が実験というか気分的なものなのだろうか? そこにおそらく動揺しながらも美しい歌やパッションに満ちた伴奏を付けていくドゥダメル。これ、ひょっとして愛の鞭? 1番はいびつな印象が強いが、2番の2楽章にもなってくると、遂にドゥダメルが不思議バレンボイムを攻略し、柔軟で確信的な一体感ある感動的な音になっていく。正にドゥダメルが逞しく成長していくよう。もしやバレンボイム、そこまで狙ってた? ヨーダとルーク・スカイウォーカーのような興味尽きない共演の記録だ。
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ツィメルマン(ピアノ)、ラトル(指揮) ルトスワフスキ:ピアノ協奏曲、交響曲第2番

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■レコード会社からのオススメコメント
ルトスワフスキがザルツブルク音楽祭の委嘱により作曲し、1988年の同音楽祭においてツィメルマンと作曲者自身の指揮で初演されたピアノ協奏曲は、ツィメルマンのために書かれたもの。ツィメルマンはこの協奏曲をDGにルトスワフスキ指揮BBC交響楽団と1989年に録音しており、約20年ぶりの再録音となる今回はラトル指揮ベルリン・フィルとの共演で、交響曲第2番がカップリングされています。

■ガイド大塚の感想
現代音楽作曲家の中でも調性的・旋律的な部分が多く、演奏される機会の多いルトスワフスキ。ピアノ協奏曲は、即興的な部分と、記譜された箇所が繋がっていくチェーン形式が出るなど、代表的な作品。ツィメルマンは洗練を更に極め、カチッとしたテクニックと透明な音色でクリスタルのような美しさを生み出す。バックは現代音楽好きなラトルだけにさすが完璧な付け方で、多くの人に違和感なく魅力を感じてもらえるだろう、非常に高いレベルの演奏となっている。
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ヴェルビエ音楽祭2014ベスト

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■レコード会社からのオススメコメント
近年存在感を増してきているスイスのヴェルビエ音楽祭は、ピアノの祭典として有名ですが、室内楽や声楽でも注目度を高めており、2014年にも豪華な顔ぶれで数多くのコンサートが開かれました。アルゲリッチ&デュトワによる「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番」から第3楽章。キーシンやトリフォノフといった面々による演奏のほか、8台のチェロによるアンサンブルや、テオルボ、パーカッションも登場する古楽、アブドラザコフ&ハーディングの『ドン・カルロ』の長大なアリア、そしてミンコフスキの『フィデリオ』序曲、デュトワの『ラコッツィー行進曲』などを収めた多彩な内容の熱きベスト盤です。

■ガイド大塚の感想
メンバーがとにかく豪華。ソロが収録されたピアニストは、ご存知キーシン、若き才能リシエツキ、チャイコフスキー国際コンクール優勝者のトリフォノフ、そしてその師匠ババヤン。個別で記すとキリのない、それぞれが自身のカラーの名演を繰り広げている。アンサンブルでは、まだまだ元気で元旦那の指揮者デュトワを置き去りにしていくアルゲリッチのチャイコフスキー・ピアノ協奏曲、ダニエル・ホープらによる寛いで楽しめるバロック曲あたりが楽しい。
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