2015年9月の、クラシックのおすすめ新譜CDをご紹介!
毎月大量に発売されるクラシックの新譜CD。その中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介していきます。2015年9月のオススメはこれだ!(発売前、発売延期、売り切れなどの場合もございます。ご了承くださいませ。直接CD店に行く場合などはご注意くださいませ)
小澤征爾(指揮) ベートーヴェン:交響曲第2番&第8番
2015年1月と5月に水戸で行われた定期演奏会から、ベートーヴェンの交響曲第2番と第8番をライヴ収録した1枚。2015年に80歳を迎える小澤征爾の円熟の指揮に、少数精鋭の水戸室内管弦楽団が絶妙のアンサンブルで応え、軽妙なリズムとウィットに富んだメロディで親しまれているこの2曲を楽しませてくれます。オーケストラのソリスト陣の妙技も素晴らしく、ライヴならではの白熱した演奏が展開されます。
■ガイド大塚の感想
大病後で、年齢的にももう最後のチクルス録音かもしれない、というベートーヴェンの演奏だが、そういった情報を忘れて聴くと、とにかく激しい音楽なことに驚かされる。アタックは強いし、リズムは強調され、推進力あり、テンポも速い。ブラインドで聴かされたらエネルギッシュな新人と思ってしまうかも。そこがすごいと思う。熟練の技術を持ちながら、スコアを見る目、意欲はピュア。それぞれの初演時のベートーヴェンが熱いパッションで振ったかのような熱演だ。
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宇野功芳(指揮) ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱つき」
徹頭徹尾、宇野功芳! 85歳の棒は、全霊にして渾身。宇野功芳にとって第九は、80年代後半スタートしたオーケストラ活動の契機となったゆかりも愛着もある曲です。今回のライヴが遂にその集大成となりました。第1楽章の強奏の開始!から第4楽章コーダの爆発まで、一瞬たりとも聴き手を離しません。際立つ個性美も堂々たる威風も、ここに燦然と輝いています。こんな熱い第九、聴いたことがあるかという世評通りの内容です。
■ガイド大塚の感想
ppではなくmfで始まる冒頭を聴いた瞬間、思わず吹き出してしまった(笑)。最後まで強弱・音の長さ・楽器の変更などなど、やりたい放題の演奏だが、様々な演奏が可能なのが、クラシック音楽の面白いところ。それをここまで明確に示した演奏というのも稀有なもの。それにしても出てくる音はなんと楽しそうなことか。そして思いがけず、背筋がぞっとするような心が揺さぶられる音も出てくるのだから、あらゆる意味で問題作。
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アルゲリッチ(ピアノ)、シュヴァルツ(指揮) プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番、モーツァルト:交響曲第35番『ハフナー』、第38番『プラハ』
タワー・オリジナル企画盤シリーズとして、札幌交響楽団アーカイブ・シリーズがSACDハイブリッド盤で登場。第I期は5タイトルをリリース。その中でも白眉はこの初出のアルゲリッチの演奏です。1970年初来日時の記録で、このプロコフィエフ演奏は初めての日本のオケとの共演でした。音質も良質のステレオ録音。強烈なパッションに満ちた演奏が、今、蘇ります。
■ガイド大塚の感想
アルゲリッチがとにかく凄まじい! 有名なアバドとの録音が1967年だからそれより3年後だが、録音の仕方にもよるのか、とにかくそれ以上のバリバリ弾きまくりの圧巻の演奏。2楽章の第5変奏途中でアクセルを踏み込む急加速で、オーケストラは完全に置いていかれるなど、ハプニング含め(笑)、臨場感ある演奏。ハフナーとプラハも堂々たる温かみある壮麗な演奏。札響の実力の高さを伺わせる。
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近衞秀麿(指揮) ベートーヴェン:交響曲第1番、第7番
近衞秀麿と札幌交響楽団との唯一の共演記録。"近衞版"ベートーヴェン演奏の重要な歴史的記録が今、ここに! 第1回定期演奏会よりちょうど2年後の、創立記念日である1963年9月6日、第22回定期演奏会の特別な記録です。札幌交響楽団が保有していたオリジナルのアナログマスターテープより、高品位で各々デジタル化。驚異のステレオ録音です。
■ガイド大塚の感想
今のオーケストラと比べるとやはりピッチの甘さなど技術的な部分で気になるところはあるものの、チェロやティンパニなどしっかりとした音で堅牢。近衞効果なのか、生み出される音楽の高貴な佇まいは想像以上だ。団員が高揚して演奏しているのが分かる。それにしてもこんなに音の状態が良いものが残っていたとは。貴重な記録。
タワーレコード