プレハブ住宅を理解するには工場見学の参加がお勧め
プレハブ住宅の建築では、まず工場内で住宅の部材(柱や梁、あるいは壁や屋根のパネルなど)を製造し、それを施工現場に運んで組み立てるというスタイルが一般的です。つまり、工場内で部材を生産している様子を皆さんに見てもらうというのが、工場見学会の主要な内容というわけです。例えば、柱や梁として使う鉄や木材をコンピュータ管理の下で加工。そうすることで、長さや太さなどの狂いが極端に少ない部材が出来上がり、結果的に設計通りの住宅を皆さんに提供できることになるわけで、そうしたことを一つひとつ確認できるわけです。
このような生産ラインがあるわけですから、基本的に規模が大きく、じっくり見て回ると少なくとも1~2時間は必要です。ただ、最近はどこでも見学ルートが整備されているため、私たちにとって見学しやすくなっているのは事実です。
さて、私が先日、見学してきたセキスイハイムの蓮田工場(埼玉県蓮田市)は、プレハブ住宅の中でもさらに特殊な住宅ユニット(鉄骨系)を生産している工場です。少しその内容をご説明しておきます。
セキスイハイムはユニット住宅というスタイルで住宅を供給しているわけですが、その建築スタイルは標準的な建物で住宅を十数個のユニットにわけて生産し、それを現場で合体させるという仕組みです。
一つひとつのユニットには外壁材や窓などが設置され、内装も下地材まで取り付けられます。階段なども工場内で制作され一部は取り付けまで行われるケースもあるそうです。
それぞれのユニットを施工現場に持って行き組み上げるのですが、ほとんどは1日で雨仕舞いまで出来上がる、つまり施工期間が大変短いのがこの工法の特徴で、それを可能にしているのがセキスイハイムの工場なのです。
建築時にミスや混乱が起こらないようにするための工夫とは
同社によると「工程ベースで約8割を工場で生産する」とのことで、違う表現をするなら施工現場では内装工事を行うくらいということです。このことで、高い品質と性能を確保できるというわけです。私はこの蓮田工場を通算10回程度訪れていますが、毎回新たな発見があるのがうれしいところ。今回、目に付いたのは配線関係の工程に関してでした。配線というのは後から追加したり場所を変えるのが難しいのです。
これも工場でユニット生産時に行うわけですが、例えば電気配線やインターネット配線など様々ある配線を色分けし、ミスが出ないようにしていたのが印象的でした。これなら将来、リフォームする場合も何の配線なのか混乱せずにすみます。
また、住まいづくりの段階ではコンセントの差し込み口の場所や数についてはあまり気にするポイントではありませんが、あるべきところにないと住み始めてから不自由さを感じるものです。
そうならないようにするために設計段階から施主と詳細に打ち合わせをすること、そしてこれまでの実績に基づくルールがあるからこそ、このように工場である程度作り込んでも問題が生じにくいのだということに気づかされ、セキスイハイムの住まいづくりの隠れた特徴を知る良い機会となりました。
そしてこの工場を見学していて改めて感じたのが、近代的な工場でありながら多く人が作業していたこと。そこから、住まいは必ず人の手を介して完成するものであり、より良い住宅を提供するために常日頃から努力を続けている、ということが再確認できました。
以上は基本的なことですが、工場見学ではこのほか色んなことが学べます。とくにこの工場は、生産ラインだけでなく様々な見学施設が整っているのも特徴です。家族連れで訪れると良い思い出づくりにもなります。
セキスイハイムに限らず、様々なハウスメーカーの工場見学会(他の見学会も含めて)にも参加してみてください。住まいづくりの楽しさ、奥深さに触れられるはずです。