TEAM NACKS 15作目の舞台『悪童』
今回取材が行われた『悪童』は、森崎博之さん、安田顕さん、戸次重幸さん、大泉洋さん、音尾琢真さんらによる演劇ユニットTEAM NACSの公演。北海道・北海学園大学の演劇研究会出身で1998年に『再演DOOR~在り続けるためのプロセス~』でプロとしてのデビュー公演を果たしたTEAM NACSの15作目の舞台です。
それぞれドラマや映画、バラエティでの活躍も著しいメンバーたちが3年振りに結集し、劇作にドラマ『相棒』や『デート』『リーガル・ハイ』の脚本家・古沢良太氏を、演出にジョビジョバのリーダーであり、自身も俳優として活動するマギーさんを迎えて新たな世界に挑んだ本作。廃墟となったレジャーセンターに一人の男が立てこもり、彼がそのレジャーセンター”竜宮”に中学時代の卓球部の仲間たちを集めることから物語が展開していきます。
5人が舞台に立ち続ける理由
稽古や本番を含めると拘束期間も長く、映画やテレビに比べて観客数も限られる「舞台」というフィールドに、忙しいメンバーたちがこだわり、そこに立ち続ける理由……それは舞台が北海道時代から続く彼らのルーツであり、学生時代からの仲間たちと一番自由な形で作り上げ、観客に提示できる”生身の”エンターテインメントだからではないでしょうか。そんな彼らの思いが詰まった舞台の取材現場で、場の空気を読まずにトンチンカンな質問を続けた記者に対し、大泉洋さんはその場の雰囲気を和らげ、皆の笑いを誘いながら、何十パーセントかの本音を加えて「出入り禁止ね」という言葉を投げたのだと思います。難しいタイプの俳優さんだったら、途中で取材が中止になることもある中、大泉さんは本当に華麗にボールを打ち返し、ともすれば雰囲気が最悪になりかねないその場の空気を救ったのだな、と。
実際、今回の記者さんみたいな人はたまにいらっしゃいます。特に舞台の取材の場合は、俳優さんのキャッチーなコメントを取ろうとする芸能系の記者の方たちと、舞台そのものをメインに取材に来ているエンタメ系の取材陣とにカッチリ分かれますので。
「出入り禁止」という言葉のインパクトから話題になった本件ですが、その背景には決して効率が良いとはいえない「舞台」というエンターテインメントにこだわり、超人気俳優となった今でも、そこに学生時代からの仲間たちと立ち続けているTEAM NACSのメンバーたちの熱い思いがあるのです。
『悪童』東京公演のチケットは完売の模様ですが、9月6日の千穐楽には全国の劇場でライブビューイングイベントも予定されていますので、5人の舞台での生き様をリアルタイムに体感してみるのもいいかもしれません。
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TEAM NACS公式サイト