そもそも「家族介護慰労金」とは?
家族介護慰労金の対象者となるには、厳しい条件をクリアする必要があります
2000年に介護保険法が施行する前から、各市町村では介護を行う家族に対して給付金を支給する「介護手当制度」が実施されていました。この介護手当制度は、所得にかかわる要件が無かったため、より多くの人が対象となっていたのですが、「家族介護の固定化を招く」などの理由から、現在ではほとんどの自治体において廃止されています。
家族介護慰労金は、介護手当制度に代わるものとして、介護保険法の施行後に多くの市町村で実施されています。
市町村によっては、家族介護慰労金を実施していないところもあるので、対象者となる人は、市町村の窓口や地域包括支援センターに確認などして、居住している市町村の実施状況を確認しましょう。
家族介護慰労金の対象者
下記のすべてに該当する場合、家族介護慰労金の対象となります。- 1年以上、要介護4~5に認定されている要介護者を自宅で介護している
- 要介護者および介護する人と生計を共にする世帯全員が市区町村民税非課税である
- 過去1年間、介護保険サービスを利用していない(7日間以内の短期入所生活など、一部例外あり)
居住している市町村によっては、「市内に1年以上居住している」「1年以上入院していない」「介護保険料や国民健康保険の滞納がない」など、さらに条件が追加されるところがあります。
家族介護慰労金の支給額
家族介護慰労金の支給額は市町村によって異なりますが、1年あたりの目安は10~12万円となります。家族介護慰労金の申請先と申請方法
市町村によって申請先と申請方法は異なりますが、どこに居住していても基本的な流れはよく似ています。ここでは一例として、大阪市の場合の申請の流れをご紹介します。
- 福祉局高齢福祉課に問い合わせを行い、申請書を入手
- 申請書に、居住状況、医療機関の入院状況、介護の状況などについて記入し、送付する
- 後日、記載された内容および支給要件について審査が行われる
- 支給要件を満たした場合、後日、訪問調査のうえ支給が決定
- 決定通知書が届いたら、請求書を福祉局高齢福祉課(在宅支援グループ)に送付
- 福祉局から、指定の銀行口座に1家族介護慰労金を振り込み
家族介護慰労金は、どんなときに利用するべきか
家族介護慰労金を受給する条件は、結構厳しいものとなっています。なかでも一番厳しいのが「過去1年間、介護保険サービスを利用していない」という条件。介護保険サービスを利用せずに、家族だけで要介護4~5の人を介護し続けるのは、とても大変です。
要介護者本人が「他人の介護を受けるのは絶対にイヤだ」と強硬に主張したり、介護家族のなかで「どうしても自分が介護したい」と言って譲らない人がいた場合などで、結果的に介護保険サービスを1年以上使わなかったときに申請を行うぐらいのスタンスが良いのではないでしょうか。
しかしそれでも、介護保険サービスに頼らずに必死で要介護者を支えた家族に対するささやかなご褒美として、家族介護慰労金の制度自体はすべての市町村で実施されるようになってほしいと思います。対象となる人は忘れずに申請をしましょう。