ジビエとは

シカ

野生の鳥獣の肉をジビエと言います

ジビエとはgibierというフランス語に由来します。狩猟などで得た天然の野生の鳥や動物(鳥獣)などの食肉を意味します。具体的によく食されるのは、シカ・イノシシ・野ウサギ・ヤマバト・マガモ・コガモ・オナガカモ・カルガモ・キジ・コジュケイ・カラスなどがあります。野生であるがゆえに、脂肪が少なく肉質の良さが評価される一方で、安全管理が徹底されていないため、さまざまな細菌やウイルス、寄生虫などを保有している可能性があります。

感染症という点で言えば、ジビエの調理法については十分注意したいもので、基本的に生食をお勧めしません。

日本で狩猟が認められているのは、11月15日~2月15日まで。まさにこの時期がジビエシーズンとも言えます。

ジビエを安全に食するために

厚生労働省が策定した「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」では、野生鳥獣肉を確保する方法として狩猟とわなによる狩猟を挙げており、それぞれの衛生上の留意点を記載しています。

狩猟では腹部に着弾しないこと、わなによる狩猟では転倒や打ち身による外傷、炎症がないことが必要です。内臓には細菌・ウイルス・寄生虫が含まれている可能性があること、消化管には細菌が存在すること、土壌の細菌・ウイルス・寄生虫が侵入する可能性があることが理由として考えられます。野生鳥獣の状態も重要です。足取りが悪い、行動がおかしい、脱毛している、やせている、大きな怪我をしている、皮膚が化膿しているなどの野生鳥獣はジビエに適しません。

ジビエの多くは肉であることが多いため、その解体処理での汚染に注意し、さらに食する時には中心部の温度が75℃で1分以上の加熱が推奨されています。

ジビエとE型肝炎

2003年8月に生のシカ肉を食べた4名が6~7週間後に肝炎になり、E型肝炎ウイルスによると同定されました。シカのE型肝炎ウイルスと患者のE型肝炎ウイルスが一致したこと、少ししか食べなかった人や食べていない人ではE型肝炎を発症しなかったことから、シカ肉の摂取で起こったE型肝炎の最初の報告でした。

E型肝炎は主に急性肝炎で、発熱、体が黄色くなる黄疸、全身倦怠感などの症状が見られ、自然に治癒します。慢性化することは稀ですが、妊婦や高齢者では急速に肝機能が低下する劇症肝炎になりやすいと報告されています。

平成23~25年度厚生労働省科学研究「野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究」によると、イノシシは277頭中6頭、シカは201頭中1頭でE型肝炎ウイルスの遺伝子が検出されました。

E型肝炎予防には、生で食べることは避け、中心部まで十分に加熱することが大切です。

寄生虫にも注意

平成23~25年度厚生労働省科学研究「野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究」では、イノシシとシカについてE型肝炎以外の検査を行った結果が記載されています。イノシシとシカの糞便295検体の中に、サルモネラ菌が1例、溶血性尿毒症症候群を引き起こすベロ毒素をもつ大腸菌が10例ありました。サルモネラは、人では発熱・腹痛・下痢を起こす細菌です。

さらに、イノシシ52頭中12頭、シカ61頭中2頭の腎臓から、人で発熱・黄疸・出血傾向・腎障害を起こすレプトスピラという細菌の遺伝子が検出されました。

つまり、細菌だけでなく寄生虫にも注意が必要だということです。イノシシ・シカの糞便の50%に鞭虫・回虫・鉤虫と言った寄生虫の卵が検出されました。さらに、筋肉・肺・肝臓にそれぞれ寄生しやすい寄生虫が実際に見られたと報告されています。

寄生虫は早期発見が難しいことがあり、大きくなったり増えたりしてようやく症状に気づくことがありますから、十分注意したい感染症です。

・溶血性尿毒症症候群の原因・症状・治療・予後

安全にジビエを食するには

焼肉

生を避け、加熱が大切です。

野生鳥獣が健康であり、狩猟やわなによる狩猟での確保が明確で、解体処理に安全性が確保され、消毒された器具で調理され、ジビエを調理した器具を十分に消毒し、他の食材を調理しないなどの注意が必要です。さらに、ジビエ食材そのものは、内部の温度が75℃で1分以上、またはそれに準じた調理によって、殺菌消毒することが望まれます。

 


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