「パブリックドメイン」ってなに?
東京五輪に使用されるロゴの盗作疑惑が世間を騒がせていますが、これは「著作権」というものに人々の関心が高まっている背景があるのではないでしょうか。創作活動や表現において過去の作品や素材を参照することは不可欠ですが、やり方を誤ると問題になってしまいます。あらゆる著作物や発明などの知的創作物については、知的財産権という権利が発生し、その創作者の権利は保護されます。しかし、知的財産権は保護期間が定められており、この期間が終了したものはパブリックドメインとして一般利用が可能になります。また、そもそも権利者が知的財産権を放棄する場合もあるので、これについてもパブリックドメインとして利用できます。
映画や音楽、小説などの著作物でパブリックドメインのものを商業利用しても著作権違反に問われることはありません。
今回は「パブリックドメイン」のサイトについてご紹介いたします。
【映画編】世界中から著作物を集める「Internet Archive」
インターネット・アーカイブは世界中の著作物を収集する電子図書館で、映画本編、予告編、さらにテレビ番組が収められています。また、本や録音データ(音楽バンド等の許可によるライブ公演の録音も含む)も利用可能です。
【映画編】「YouTube」でパブリックドメイン動画を簡単検索
検索エンジンでYouTube public domainと入力すると、フル視聴可能なパブリックドメインの動画が表示されます。違法にアップロードされた映画は削除されますがパブリックドメインの映画はいつでも視聴可能です。
【音楽編】音源も楽譜も利用できる「MUSOPEN」
MUSOPENとはパブリックドメインの音源と楽譜を収集するサイトです。著作権制限無しに音楽を公共に提供することを目的としており、音源だけでなく楽譜も提供しています。検索も作曲家別、演奏者別、楽器別、時代別にできるのが特徴的です。
【絵画編】西洋絵画も浮世絵も「パブリックドメイン美術館」
パブリックドメイン美術館は、既に著作権保護期間が終了したパブリックドメインの絵画を公開しています。浮世絵や錦絵もあります。【文学編】「青空文庫」で過去の名作を読破
青空文庫は、誰にでもアクセスできる自由な電子本を図書館のようにインターネット上に集めようとする活動です。著作権の消滅した作品と、自由に読んでもらってかまわないとされたものを公開しています。
【文学編】電子図書館の元祖「Project Gutenberg」
Project Gutenbergは最初に世界中の文学作品を収集し始めた電子図書館です。小説や詩、戯曲といった文学作品だけでなく、マニュアルや参考書、雑誌の類も収集の対象としています。日本語訳はありませんが、原文を探している人におススメです。
【写真・イラスト編】「Public Domain Pictures」で写真素材をゲット
パブリックドメインの写真・イラスト素材を集めたサイトです。商業目的の利用も可能で現在10万枚以上の写真がストックされています。
【デザイン編】「Publicdomainvectors.org」が提供する無料素材集
デザイン作成に使えるパブリックドメインのベクター素材(拡大縮小しても画質が歪まない素材)が集まっています。許可なく、無制限に商業目的に画像を編集、配布、使用できます。
【ロゴ編】「CLOUD LOGO」でロゴも簡単作成
全てのロゴをパブリックドメインにて提供しているでライセンスを気にすることなく利用できます。企業ロゴとしてやWebサービスのロゴとして自由に利用できます。
知っておきたいパブリックドメイン利用時の注意点
著作権フリーの素材を利用をする際に気をつけなければならないことがあります。それはフリー利用可=パブリックドメインではないということです。パブリックドメイン以外にも「クリエイティブ・コモンズ」というものがあります。
「クリエイティブ・コモンズ」とは、様々なコンテンツの作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って良いですよ」と分かりやすく意思表示をするためツール(マーク)のことです。「非営利マーク」「改変禁止マーク」「継承マーク」の有無によって著作物利用の自由度が異なります。
以下の図はクリエイティブ・コモンズとパブリックドメインの利用をわかりやすく記載したものです。
おわりに
パブリックドメインに関する著作権法は国によって異なるため、日本のルールがそのまま海外の著作物に適用するとは限りません。TPPによって著作権のルールも変わる可能性があるので、今後も著作物を利用する際には法律的なことについて一考してみることがこれからの時代には必要になっていくでしょう。