保守本流としてのテクノ
ガイド:ここに収録されている「大四喜/BIG4」など中国語/英語表記のタイトルの曲たちはオリエンタリズムも感じられる、インストが主体となった"テクノ"ですね。お二人の場合は、リアルタイムとしてはやはり"テクノ"からの影響が強いのですか?
ヤサカ:
そうですね、現在のメインストリームがどうであれ、自分の保守本流としてテクノが根幹にあります。なので、自分達の根幹を一番発揮できるシチュエーションでは、インストだったりミニマルなスタイルが自然に出てしまいます。ただ、我々はライヴハウスだったり、オールジャンルだったり、クロスオーバーなシチュエーションも多いので、公で表現していく上で、本流のシェンフーシュバイツを見せる場合と、他流から来たシェンフーシュバイツを見せる場合では、表現の導線が異なってきますよね。ランカシャースタイルのレスリングの選手も、総合格闘技に出る時はボクシングを使う訳で(笑)。そういう意味では、我々は広義的なテクノスタイルだと思ってますから、テクノ以外のジャンルのリアルタイムな影響も大きいとは思います。
自分達でもどこ行くかわかんない
ガイド:実は、最初に聴いたというか見たのが2014年に発表された唯一のミュージッククリップ「ハイクライク」で、これにやられました。こちらでは、歌もので、サウンドとしてはエレクトロに振り切っていますが、これがシェンフーシュバイツの今後の方向性と考えてもいいのでしょうか?
ハイクライク (YouTube)
ヤサカ:
基本的には自分達でもどこ行くかわかんないですね(笑)。その時に面白いと思ってるものが混ざってくるし、現場やシチュエーションから見えてくるニーズやテンションで、方向性が決まってくる事が多いので。ただ、語弊があるかも知れないですけども、ジャンルとしては我々にはヒップホップの血がないので、純血なエレクトロは完全には体現できないと思ってます。その上で、初期設定した根幹のオリエンタルでクラシカルなテクノの感覚を現在のタイムラインに溶け合わせています。
ノエルさんやデッドマウスさんには怒られるかも知れないですけど(笑)、そういう意味ではEDMの存在も我々にとっては都合がよくて、ダブステップにしても、ブロステップにしても、都合がいいというか、手が合うというか、溶け合わせるマテリアルとしてはポップスやロックやダブの血の方が、我々の思う広義的なテクノに対してはしっくりきてます。「ハイクライク」に関してはそういう背景で生まれてきたものですね。
ガイド:
意図されたものかはわかりませんが、クラフトワーク的ポリゴンや「チャイナ・ディスコティカ」的世界観も感じ取れます。どうなんでしょう(笑)?
ヤサカ:
ロジックとしてはあんまり意識してないですけど、元々シェンフー自体のコンセプトがパラドックスだったり、邂逅してる部分があるので必然的にリンクしてるかも知れないですね。正直な話、自分達では視覚的なIDの善し悪しってよくわからないんですよね。どうしても音の方が先に来ちゃうんで。NUXXのビデオを作ったBenjamin Akaiに映像をお願いしたんですけど、「香港をウロウロしてくるから、あとは頼む」と(笑)。今回はあまりコンセプチュアルな方向には寄らずに、彼の思うシェンフーシュバイツのイメージをそのまま出して貰えればって事で。彼特有のグラフィックや質感、画の音ハメ、それだけで充分な中毒性を出してくれると思ってて、まさにイメージ通りに痛快な面白い作品を作ってくれ た感じですね。
西日本屈指の寝技上手
ガイド:ライヴもいくつか予定されていますね。「西日本屈指の寝技上手」と呼ばれるライヴということですが、楽しみにしています。
ヤサカ:
OH!グラシアス!スパシーバ!日が近いんですけど、8月29日に数年ぶりにシェンフーシュバイツ主催イベント「E!!!」を神戸三宮のARTHOUSEで開催します。関西エレクトロ界、期待の若手アーティスト「GACHA the matrix」や、NUXXのアイズマックとの共作でプロデュースしている女性アーティスト「カナスタ」の関西での初ライヴなど、とてもオモシロE!!!夜になります。
それから、9月は関西でmothercoat主催2マンナイト「" NG"」、東京ではゲッカンプロボーラー主催「HARDFLOOR VS GEKKAN PROBOWLER」があります。ごりごりのライヴハウスナイトからハードフロアまで、極端な振り幅で、まさに寝技上手なスケジュールとなっております(笑)。是非、皆々来来!謝謝everybodyダンケシェーン!