棺桶に入れるオリジナル音源
ガイド:「共産テクノ」と「先富schweitz」の間には通じるものがあります(笑)。
シェンフーシュバイツは2009年くらいから活動されているようですが、それまでは音楽活動をしていたのですか?
ヤサカ:
それぞれバンド活動や裏方をやっていました。サングラスかける以前の記憶は、けっこう忘れてます(笑)。その後、色々と音にまつわる仕事をしてきて、シェンフーシュバイツを始めるまでに表現したいものが整理されていった感じですね。
ガイド:
先ほどのゲツプロのリミックスなどリリースから見ると、最初はリミックス中心の活動だったのですか?
ヤサカ:
シェンフー以前の活動がかなり非生産的だったので、最初は自分の棺桶に入れるオリジナル音源をキチンと生産しておくべきだなと思って始めたんです(笑)。なので、どちらかと言うとオリジナルを作る為のドメスティックな制作ベースだったんですけど、並行して、外向きにアレンジングとかレコーディングのディレクションやマニュピレートみたいな裏方仕事もしていて。そのうちにライヴの声がかかるようになってきて、段々と活動範囲が広がって、オフィシャルのリミックスの依頼が増えて来たって感じですね。
いい加減に出せ!
ガイド:2013年の作品と思われる5曲入り『弐千拾参-改』という作品集をいただきましたが、これは初期のライヴなどで使ったオリジナルトラックということでいいのでしょうか? 流通はしていないのでしょうか?
ヤサカ:
そうですね、現在から見ると中期くらいのオリジナル音源でしょうか。シェンフーをよく知ってる人は、「えっ音源出てるの?」って思われるかも知れないですけど、いわゆる資料用のサンプル盤です。今の所、流通はしてないですね。この作品に限らず、オリジナル音源の流通や正式なリリースはまだしてないんです。我々はCD盤の消費全盛の頃も、デジタルでバーッと広がったソーシャルの黎明期の波にも乗れていないので、完全に出しそびれてる感100%ですね(笑)。波に乗れていない以上、現在の作品が激しく消化していく状況に、中途半端に合わせても仕方ないかなという気持ちもあります。
古い考え方かも知れないですけど、リリースはある意味アーティストの生命力を消費しながら、又生命力を増やしていけるかの一連の作業だと思ってるので、激しい消化の中で、一喜一憂して疲れちゃうのは嫌だなと。ローカルサイズであっても現場やライヴに感覚を設定しておいて、時々流通されてるリミックスや提供もので「あいつらは一体何者なんだろう?」と思われてる方が性に合ってるし、結局、リリースせずにどこまで行けるのかな?とも思ったりして。正式なリリースもしてないのに、こうやってインタヴューして貰ったり、アルカラのフェスに出して貰ったり、ハードフロアとご一緒させて貰ったり、本当に何者だ?冥利に尽きます(笑)。ちゃんとアンテナ張ってる人が興味を持ってくれて 、探し当ててくれるので、自分の実感としてはリアルですよ。とは言え、最近は「音源はまだですか?」とか「いい加減に出せ!」とよく言われてるので(笑)。なんとなく状況も整ってきたし、そろそろかな…とも思ってます。