アブラはダイエットの天敵?
アブラは少量でたくさんのエネルギーを作り出すことから、ダイエットの天敵と言われてきました。でも、脂分のない肌はみずみずしさに欠けて美しくありません。健康にいいアブラを上手に選びましょう
しかし、みずみずしい美しいお肌は適度な油分が含まれてこそ輝きます。カサカサ肌にならないためには、健康にいいアブラを上手に取り入れていく必要があるのです。
健康によいアブラは「脂肪酸」で見分ける
アブラの分類の仕方にはいろいろな分類方法があります。一般的によく知られているのは、原材料の違いによる「動物性油脂」「植物性油脂」の分類。「油」と「脂」の違いは、一般的には常温(室温)で液体なのが油、固体なのが脂です。一部例外がありますが、油は植物性油脂で、脂は動物性油脂であることが多いようです。ここまでは食品学的な分類の仕方です。栄養学の世界では体内での役割等を鑑みて、以下のように分類されます。
これらの油脂類のすべてが体内で有効な成分となります。
よくみると「脂肪酸」という言葉が散見されます。この「脂肪酸」こそが油脂の性格を決める重要なポイントです。
脂肪酸の種類と身体に必要なアブラ
脂肪酸は大きく分けて3つに分類されます。巷では、どの脂肪酸が生活習慣病を助長するとか、どの脂肪酸が糖尿病を予防するなどと、1つずつの脂肪酸を取り上げて一喜一憂するような話題が見られます。実際に実験データとしてそのような論文が発表されていることも事実ではあります。
しかし、これらの脂肪酸にはそれぞれの役割があります。そのため、本当に考えなければいけないのは、これらの脂肪酸の割合です。図の右端に「適正な割合」と記しましたが、飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸の比率が3:4:3になるのが望ましいアブラのとり方です。
全体のエネルギー量に対する脂肪のエネルギー比率は20~30%が望ましいとされています。
脂肪は1gあたり9kcalのエネルギーを産生するので、例えば1日2000kcal程度を目安に食べる場合、必要な脂肪は
- 2000kcal × 20~30% ÷ 9 = 44.4 ~ 66.7g
を摂取すればよいということになります。厚生労働省が毎年1回行う「国民健康・栄養調査」の最新版である「平成25年国民健康・栄養調査」では脂肪エネルギー比は25.7%。理想の範囲内に入っています。
私たちが実際に食べているアブラって?
さらに「平成25年国民健康・栄養調査」でアブラの摂取量の詳細を確認してみます。まず、食品群別摂取量を見てみましょう。油脂類10.3g・魚介類78.8g・肉類86.8g・卵類34.1g・乳類103.9g・菓子類25.3gとあります。次に、脂質摂取量を見てみます。その数値は54.3gとあり、食品群別摂取量で見た油脂類の数値とは大きく異なることがわかります。普段私たちが「アブラ」として意識して食べているのは、油脂類に分類されるものだけです。つまり、肉類など他の食品に含まれるアブラは、その食品にどのくらいの割合が含まれているかをあまり意識することなく、無意識のうちに摂取していることが多いということです。そう考えると、「アブラ」として意識して食べているのは全体の20%弱だと言えるでしょう。
「多価不飽和脂肪酸」を多く含むアブラの摂取がおすすめ
ここで、先の脂肪酸の表をもう一度見てください。飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸は肉類や乳製品に多く含まれていることから、摂取割合は高くなりやすい傾向があります。一方、多価不飽和脂肪酸は青魚や大豆製品など、少し意識しないと食べる機会を逃してしまう食品に多く含まれています。そのため、自分で意識してコントロールできるアブラは、ごま油やコーン油などの多価不飽和脂肪酸を多く含むアブラを選ぶのがよいと思います。アブラを選ぶ際の注意点
多価不飽和脂肪酸を多く含むアブラを選ぶとよいことは上記で説明したとおりですが、他にもアブラを選ぶ際の注意点があります。アブラは古くなると「酸化」します。アブラが酸化すると成分が変質して悪臭を放ったり、本来の有効成分が分解されたりしてしまうことがあります。アブラは瓶が大きくなればなるほど1mlあたりの単価が安くなり割安にはなりますが、購入時には割高になっても1~2ヶ月で使いきれる程度の量を購入し、新鮮なアブラを使うようにしましょう。封を開けたアブラは冷蔵庫での保管をオススメします。
また、アブラを選ぶ際も食品表示をよく見て、本来の食品から搾り取ったできるだけ添加物の少ない商品を選ぶようにします。
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