ブルージェイズが2つの大型トレードを敢行
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今年は例年以上にその動きが活発だった。7月23日(同24日)からの9日間で、実に113人の選手がからむ37のトレードが成立。日本人選手はからまなかったが、印象的なトレードを挙げてみたい。
何と言っても最も注目を集めたのは、ブルージェイズで敢行された2つの大型トレード。1つ目は、ロッキーズからトロイ・トゥロウィツキー内野手とラトロイ・ホーキンス投手を獲得、交換としてホセ・レイエス内野手、ミゲル・カストロ投手、ジェフ・ホフマン投手、へスス・ティノコ投手を放出したことだ。
トゥロウィツキーは球界最高の打力を持つ遊撃手といわれ、7月31日(同8月1日)現在、打率.300、12本塁打、53打点をマーク。今年のオールスターゲームにも故障者の代役として出場。昨季は91試合の出場ながら打率.340を記録した。2010年にはプレーオフを争う9月に15試合で14本塁打を放ったように、一度火が付くと手が付けられない。打撃に加え、守備、リーダーシップにも優れ、ジーター(元ヤンキース)やリプケンJr.(元オリオールズ)にも比較される。唯一の欠点は故障の多さで、この8年間で140試合以上出場したのは3回しかなく、新天地でいかにケガをしないかにかかっている。
2つ目の大型トレードとして、デレク・ノリス投手ほか2投手と交換に、タイガースからデビッド・プライス投手を獲得したことだ。プライスは現役最高左腕の1人で、レイズ時代の2012年、最多勝、最優秀防御率を獲得し、サイ・ヤング(最優秀投手)賞に輝いた。シーズン途中にタイガースへ移籍した2014年には最多奪三振王になった大物で、ノドから手が出るほど欲しい存在だった。
日本に較べてメジャーのトレードはあくまでビジネスライク
ブルージェイズは、この2つの大型トレードを敢行したほか、フィリーズから俊足好打のベン・リベラ外野手、マリナーズからリリーフのマーク・ロウ投手も獲得。1993年以来のプレーオフ進出(現在30球団で最もプレーオフから遠ざかっている)に万全な態勢を整えた。このブルージェイズのほか、近年は売り手に回っていたロイヤルズ、メッツ、アストロズなどが買い手に回り、ドジャース、マーリンズ、ブレーブスの間では総勢13人がからむ三角トレードも成立した。
12球団しかない日本では、トレードにまだまだ暗いイメージが付きまとうが、30球団あるメジャーでは、トレードはあくまでもビジネスライクであり、選手たちからも新天地で年俸を上げてやろうという気概さえ感じる。このあたりに日米の違いが存在する。