クラシック/クラシックおすすめ新譜CD

2015年8月の、クラシック音楽のおすすめ新譜CD

2015年8月のオススメはこれ! クラシック音楽の新譜CDの中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介します。

大塚 晋

執筆者:大塚 晋

クラシック音楽ガイド

2015年8月の、クラシックのおすすめ新譜CDをご紹介!

毎月大量に発売されるクラシックの新譜CD。その中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介していきます。2015年8月のオススメはこれだ!
(発売前、発売延期、売り切れなどの場合もございます。ご了承くださいませ。直接CD店に行く場合などはご注意くださいませ)


チョン・ミョンフン(指揮) マーラー:交響曲第5番

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■レコード会社からのオススメコメント
大絶賛を博した前作、第9番に続くマーラー・チクルス第4弾。チョン・ミョンフンの元で躍進を遂げるソウル・フィルの実力が鮮やかに発揮された繊細かつドラマティックな名演です。細部まで美しく緻密に構築された演奏はあたかもスタジオ録音であるかのような錯覚すら覚えますが、熱気に満ちた劇的な盛り上がりはライヴならでは。

■ガイド大塚の感想
チョンらしい透明感のある音作りで、対旋律をもかなり濃厚にはっきり聴かせ、知られざる別の物語を感じさせるような演奏。もう一つ特徴的なのが、一音一音を音符の端まで丁寧に伸ばしきる演奏の仕方。それは意識を、命を、より先に延ばそうとする思いのよう。これらが合わさり、様々なことが同時並置する現実に呆然とするのではなく、あくまで前へ進むという音楽に、心を打たれる。ふくよかさと繊細さを併せ持つアダージェットも美味。


ヴィニツカヤ(ピアノ) ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1・2番、他

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■レコード会社からのオススメコメント
体操やスケートと同じく、旧ソ連時代から他の追従を許さないクオリティを維持してきたロシア・ピアニズムの伝統は、今も脈々と受け継がれています。ロシアの巨匠ショスタコーヴィチの音楽に魅せられ、第2協奏曲は8歳の頃から弾いていたという才人ヴィニツカヤが、ラトヴィアの俊才集団クレメラータ・バルティカを第1番では「弾き振り」。第2番では、松本の音楽祭で小澤征爾の代役として名をあげたメイア・ヴェルバーが共演しています。ジャケットのスピード感も素敵な1枚!

■ガイド大塚の感想
実に迷いのない、クリアな演奏。特に1番はスコアを読み込み、思いがオーケストラにもきちんと伝わっていて、協奏曲としての一体感がとても高い。弾き振りがとても上手くいった印象だ。第2番と2台ピアノの曲では、曲のかわいさを実にドライにキリっと仕上げ甘さ控えめの大人のスイーツに仕立てるあたりも巧みで見事。


アルゲリッチ(ピアノ)他 ヴェルビエ音楽祭2007

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■レコード会社からのオススメコメント
夏の音楽祭の中でも世界的なトップ・アーティストが集うヴェルビエ音楽祭。常連のアルゲリッチとその仲間たちが繰り広げた2007年の豪華共演をCD2枚にまとめました。注目はなんといってもアルゲリッチのソロが聴ける〈子供の情景〉。マイスキー、バシュメットといったベテラン勢の円熟の至芸のみならず、若手の名手ラン・ランやラクリン、カピュソンらのフレッシュな演奏も大注目です。

■ガイド大塚の感想
最近のアルゲリッチは以前より落ち着いた寄りそうような優しさが前面に出る印象でそれも素晴らしいが、2007年はまだまだスリリング! 冒頭の『幽霊』からぶっ飛ばしテンポでいたずらっぽさ全快。俊敏な鋭い切り込みなどマイスキーとラクリンにも伝播し痛快。また特筆すべきはラン・ランとの『マ・メール・ロワ』。ハラハラする程に濃厚に絡むというか、「眠れる森の~」の息の合った音の重ね方、「美女と野獣」のエロティックな浄化など、引きずり込まれる世界観にびっくりだ。


ファウスト(ヴァイオリン)、メルニコフ(ピアノ)
ブラームス:ヴァイオリンソナタ第2・3番、他

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■レコード会社からのオススメコメント
快進撃がとまらないイザベル・ファウスト。このプログラムは、2014年6月に日本でも公演があり話題となりました。第3番の冒頭から、ファウストの振幅の大きな歌にメルニコフもぴたりと応えた最高のアンサンブルが展開されています。ファウストが奏でる音楽は非常にやわらかで優しく、強弱や音色の幅も非常に豊か。そんなファウストにぴたりと寄り添うようにメルニコフが奏でるベーゼンドルファーの音色も、いぶし銀のような音色から輝かしいものまでその幅広さに驚かされます。

■ガイド大塚の感想
メルニコフによる1875年製ベーゼンドルファーの物語るピアノの大地から、豊かなヴィブラートで天に昇るファウストの美音――。この名コンビの幸せな調べがふんだんに味わえる。それにしても、ファウストはやはり巧みだなぁ。重音のなめらかさ、強弱の表情の変化、細かく表現を変えるヴィブラートやスラーなど、非常に理知的なので自由奔放というのとはまた違うが、すぐに「イザベル・ファウストだ」と分かる芯のある可憐な美しい音でもって、個々をどう弾き全体を組み立てていくかをよく思慮し、卓越した技術で狙い通りに音楽を生み出していく。それはまるで空気の彫像を作り出すようだ。ブラームスもシューマンもくどくならず、枯れず、ロマン派の内なるみずみずしいパッションを結実させている。
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