ルール3.投資信託は個別の銘柄をチェックしなくてもいい
投資信託は、目標とする値動きを公表しています。例えば「日本株式で運用する○○投資信託はTOPIX(東証株価指数)をベンチマークとしています」というように説明資料に記載されています。この投資信託の場合、個別企業の値動きもありますが、日本の株式市場全体(TOPIXが示す数値)の値動きに連動した価格の上下をすることになります。このとき「私は○×株が有望だと思うから買いたい!」というような具体的な運用ができないことにもどかしく思う人もいます。しかし、401k運用ではこう考えてみてください。「予想が外れたときの影響を軽微にでき」「市場が上昇したときにも確実に値上がり益を得られる」運用方法なのだと。
個別の株式で運用をした場合、うまくいかないこともあります。数十%の値下がりどころか上場廃止になってしまうこともあります。そうした企業へ投資をしていたら、老後の資産が大きく傷んでしまいます。投資信託であれば1社がつぶれても残りのほとんどの企業が元気であれば、影響はほとんど出ません。
また、株式市場は上昇しているのに、自分の持っている株はあまり値上がりしないこともあります。投資信託であればこういう場合も、株式市場の上昇分を堅実に自分の利益とすることができるわけです。
私たちは投資のプロになるわけではありませんので、判断が必ずしも最善になるとは限りません。こうした投資信託の仕組みを活用することが役立つというわけです。
ルール4.投資信託は投資対象・運用手数料を吟味する
最後は投資信託選びの注目ポイントです。「投資対象」「運用手数料」についてはじっくり確認をしましょう。まず「投資対象」です。同じ投資信託でも「日本株式で運用」というのと「外国債券で運用」というのは値動きが全く異なります。一般的には「国内株式・国内債券・外国株式・外国債券」の値動きが異なることが知られており、これらを組み合わせることが重要とされています。気がついたら「全部、外国株式で運用する投資信託ばかり」というようなことがないよう注意してください。
次に「運用手数料」をチェックします。同じ運用成績の投資信託が2つあったとしたら、運用手数料が高いほうが私たちの手取りは下がることになってしまいます。信託報酬というのがこれにあたります(報酬といっても私たちがもらえるのではなく、払うという意味なので手数料にあたる)。
車を買うときに燃費をチェックするように投資信託の運用手数料は「同じような商品なら安いほう」を選ぶことを意識してください。なお、値段の高い外車が早い速度を出せるように「手数料が高いほど、運用成績も良くなる」と考えがちですが、あまりそういう関係は生じませんので、分からないときは安い商品を選べばいいと思います。(外車も軽自動車も同じ道路を走ればほとんど移動速度は変わらないようなものです)。
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今回は401kの運用では投資信託をどう理解すべきか、というテーマでまとめてみました。会社や金融機関の説明会ではここまで踏み込んだ言い方はしないと思いますので、参考にしていただければと思います。
さて、次回の「401k運用のキホン」では、具体的な運用方針の立て方を解説していきます。お楽しみに。