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シャープ、せっかく増資したのに、なぜまた減資?(3ページ目)

2015年。シャープはせっかく増資したのに、すぐに減資を行いました。なぜ減資したのでしょうか?減資の金額はどのようにして決められたのでしょうか? 実はひとつひとつの金額の背景に、きちんとした理由があります。ポイントは、来期から配当金を支払える体制の整備にあります。

日根野 健

執筆者:日根野 健

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減資して利益剰余金をプラスマイナスゼロにすれば、配当が見えてくる

さて困りました。

でも、増資後の状況をよく見てください。
資本金は2344億円もあります。資本準備金は1968億円、その他資本剰余金は116億円もあります。
利益剰余金は大幅なマイナスですが、資本金や資本準備金等は大幅なプラスなのです。

そこで思いついたのです。
「資本金や資本準備金等を減らして、利益剰余金をプラスマイナスゼロにすればいいんだ!
そうすれば、来期、黒字が出次第、配当することができる!」

資本金や資本準備金等を減らす、つまり減資ですね。
今回の減資は、来期以降シャープが黒字を出した時に、速やかに配当するために必要な減資だったのです。

今回の増資は、いわば仕切り直し。
ですから、利益剰余金をちょうどゼロにして、ゼロからのスタートにするのがちょうど良いのです。

手順としては、まず資本金と資本準備金を減少させてその他資本剰余金とします。
次に、その他資本剰余金から必要額を繰越利益剰余金に振り替えて、利益剰余金がちょうどゼロになるように調整します。

これが今回の一連の増資、減資、剰余金の処分で行われたことだったのです。
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