誤解から生まれた新しい定義
19世紀に刊行された『Maine Farmer's Almanac(メイン州農民年鑑)』をひもといていくと、ブルームーンの定義は「3ヵ月(1つの季節)に4回ある満月のうちの3度目の満月」となっています。つまりブルームーンとは、1月は「Wolf Moon」、2月は「Snow Moon」というように、満月の名称を時節(暦)どおりにするために挿入されたものだったのです。
しかし、1946年にアメリカの天文誌『SKY & TELESCOPE』が、どういうわけか「1ヵ月中の2度目の満月のことをブルームーンと呼ぶ」という誤った記事を掲載。のちに訂正記事が出されましたが、誤解は広まってしまったのだとか。
さらに1980年、人気ラジオ番組『Star Date』が誤ったほうの定義でブルームーンを紹介したのが決定打になりました。
今のようにインターネットやSNSが普及していない当時、雑誌とラジオは情報の源であり、大きな影響力をもつメディア。「1ヵ月中の2度目の満月のことをブルームーンと呼ぶ」が広まって、そのまま定着してしまったのも頷けます。
それに「3ヵ月に4回ある満月のうちの3度目の満月」よりも「1ヵ月中の2度目の満月」のほうが、私たち現代人にとってわかりやすいですよね。
本来の定義とは異なる「1ヵ月中の2度目の満月をブルームーンと呼ぶ」は、もはやモダン・フォークロアなのかもしれません。
さて、ここで疑問がわいてきます。それは、「天文現象ではないブルームーンは、地球上のどこにいても起こるのか」ということ。
その疑問を解決するために、次のページでは「1ヵ月中の2度目の満月」について、理解を深めていきます。 >>