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投資に必要な5つのスキルをチェックしてみよう

自分がどんなスキルを持っているかをさしおいて、儲かる手段ばかり追い求めるのは危険です。まず、自分がどんな人間かをよく知って、自分にふさわしい投資手法を探しましょう。今回は、投資スキルをチェッックします。自分の弱点に気づき、対策を考えましょう。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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投資に必要なスキルとは

「投資は己を知ってから」の第三弾は、自分のスキルを知るということです。投資に必要なスキルには、次の5つがあります。

1,数学力
2,読解力
3,歴史観
4,比較力
5,英語力


この5つが揃っていれば理想的ですが、そんな人はめったにいません。これらが必要だと知りつつも、自分に欠けているスキルを自覚して、それを補う手段を考えておこうというのが、本稿の趣旨です。投資スキルの5つのチェックポイントを確認して、自分に合った投資手法に出会ってください。

数学力

むずかしい高等数学が必要なワケではありません。加減乗除ができること。できれば、乗数(ベキ乗)計算やルート(√)計算ができれば、ベストです。 意外と大事なのは、数字のセンスです。これは、4の比較する力と関連していますが、数字センスがないと、適正な比較ができません。

たとえば、株価が30%下がりました。この後、30%上がれば元本回復すると思っている人はいませんか?30%の上昇では、91%までにしか回復しません。0.7 X 1.3 = 0.91

毎月10万円投資していて、1年後に127万円になりました。5.8%しか増えていない(7/120=0.058)と思った人はいませんか?正解は年利12%です。r={(1+r1)(1+r2)・・・・・・・・・(1+rn)}1/tn − 1

NISA口座をフル活用するには、年間100万円の投信を買えばいいと思っている人はいませんか?正解は103万2,400円です。手数料分は投資額に当たらないので、手数料の分だけ多く買わないと、投資額は100万円になりません。

自分が投資プロセスを正しく把握できているか?そこを自己診断するところから始めてみたら、いかがでしょうか?

読解力

84歳のウォーレン・バフェットは、毎日500ページのレポートを読むそうです(決算報告書や財務報告書など企業の業績レポートを読み解くのだと思います)。そこまでいかなくても、経済ニュース、運用レポート、有識者のコメント、アナリストのレポートなど、読むことで理解が深まる情報はあふれています。

読むことが苦痛な人がいたら、投資情報の収集は、だれか得意な人に依存してもいいかもしれません。十分な読解ができていないのに、知ったつもりになっているということが、イチバン危険なことなのです。

歴史観

過去と現在をどうとらえているかで、その人の投資行動は決まってきます。歴史のすべてを知っている必要はありませんが、重要な部分についての見識は整理しておきましょう。資本主義の成立とその変遷、国際通貨制度の流れ、株式市場の役割、20世紀以降の株価の潮流など。歴史上のビッグイベントと、それに対する自分の見解くらいははっきり頭に刻んでおきたいものです。

もし、時代はどんどん悪くなっているという歴史観をお持ちなら、景気や株価の上昇に賭けてはいけないことは言うまでもありません。もし歴史観を持っていないのなら、だれか尊敬できる人の歴史観を真似るという手っ取り早い方法も悪くありません。

比べる力

投資は、<実行→評価→再計画→実行>というサイクルの繰り返しです。評価するときに、株価指数や他の銘柄と比べることが必要です。正しく比べられないと、正しい評価ができません。

比べる力がない、せっかく投資をしていても、最善の手法、銘柄を採用することができません。比べることは簡単なようでむずかしい。しかも、正しく比べられていないまま、誤った判断を持って偏った投資を続けている人は、少なくありません。

たとえば、自分の投資成果が、株価指数を上回っているかを、チェックしたことはありますか?

米国株価指数が10%上昇したのに、自分の米国株投信は15%も上昇している。優れた投信だと喜んでしたら、円安要因を計算するのを忘れていたなんてことはありませんでしたか?

適正な比較ができないのは、期間をそろえる、単位を合わせる、為替差を加味するなど、論理的な思考ができていないことが多い(直感的すぎる)のが、原因です。その道のプロやエキスパートの分析を教えてもらって、論理的思考を養うことが必要です。

英語力

日本国内で投資をしていく分には、英語を直接読む必要はありませんから、英語力なんて必要ないと思われるかもしれません。しかし、投資の理論はほとんど欧米から来ているので、カタカナになった専門用語がたくさん使われています。

たとえば、リターン、リスク、レンジ、レシオ、デフォルト、カテゴリー、カレンシー、コモディティ、エクイティ、ボンド、ソブリンなど。
あるいは、ABS、CDO、ETF、ETN、FV、PV、PER、PBR、ROE、ROAなど。

英語から来ている、これらのキーワードが分からないと、理解できないことが投資にはけっこうあります。英語力に自信のない人は、イチから英語を勉強しなおすというよりも、これらのキーワードだけでも、正確に覚えたほうがいいと思います。

オフショアや海外不動産を志す人には英語力は必須です。日本人のブローカーがいるから大丈夫なんて気軽に考えないで、英語ができない人は、海外に出ないくらいの自覚が必要です。

いかがでしたか?自分の投資スキルを知って、自分にふさわしい投資手法と出会ってください。「投資は己を知ってから」の連載は、まだまだ続きます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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