オペラ/オペラの楽しみ方

意外な一面が垣間見える、オペラ歌手たちの面白い癖(2ページ目)

一見とっつきがたいオペラの世界ですが、歌手たちも所詮は人間。実は、面白い癖を持っていたり、奇妙な儀式を行うことで開演前の緊張を鎮めているものです。オペラ歌手たちの意外な一面を発見することで、オペラをさらに身近に感じてください。

メサマデロ  アントニオ

執筆者:メサマデロ アントニオ

オペラガイド

2大テノールの意外な習慣

スペイン人テノールのホセ・カレーラスは、舞台へ出る前にメロンを食べる癖がありました。メロンを食べると喉がイガイガするという人は多いですが、カレーラスにとっては自分の声をさっぱりさせてくれるフルーツのようです。

ルチアーノ・パバロッティも奇癖に満ちた歌手でした。オペラの舞台を踏む前には氷を噛み砕き、リサイタルの時には、いつも左手に白いハンカチを握りしめ、ポケットにはマフラーと釘を隠し持っていました。

華やかな舞台の裏に隠された恐怖心

スペイン人テノール、ハイメ・アラガルの声は、同世代の誰よりも美しいとパバロッティに評されました。

しかし、舞台で失敗することを極端に恐れていたため、開演前にはしばしばパニックに陥ることがありました。あるとき、舞台衣装にコートを羽織って逃げ出したアラガルは、空港で恐怖に震えているところを発見されました

イタリア人テノール、フランコ・コレッリは、バリトンにも聞こえるような重厚な声で、前世紀のオペラファンを熱狂させました。ハリウッド俳優のエロール・フリンを彷彿とさせるような美男でしたが、失敗を恐れて、いつも替え玉の歌手を緞帳の後ろに待機させていたといわれています。


いかがでしたか。煌びやかなオペラの世界、その舞台裏には、奇癖と恐怖心に満ちた素のままの人間がいると思うと、オペラの世界をさらに身近に感じられるのではないでしょうか。
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