「お田植え祭り」の見どころ
おおむね神社で行われる春祭りは「豊年祈願」のものが多いです。なかでも、お田植え祭りは、その代表的なものです。神社の祭りは、米の豊作を祈願するものとして「春に祈願、秋に感謝」が基本となっているようです。
米作りの所作を模擬的に演じることによって豊作祈願を祈るもので、大きく分けて「苗を植える所作のみを奉納する行事」と「実際に神田に苗を植える田植え」の2パターンに分かれます。
※実際に苗を植えるお田植え祭は6月に多く行われることから、「夏祭り」に分類している研究家もいます。
■祭りの具体例
<所作のみ奉納の例>
- おんだ祭り(2月第一日曜日、奈良県明日香村、飛鳥坐神社)
- 秩父神社御田植祭(4月4日、埼玉県秩父市)
- 金刀比羅宮田植祭(4月15日、香川県琴平町、金刀比羅宮)
<実際に田植えをする例>
- 伊雑宮御田植祭(6月24日、三重県志摩市)
- 壬生の花田植(6月第一日曜日、広島県北広島町)
- 住吉大社御田植神事(6月14日、大阪市住吉区)
- 香取神宮御田植祭(4月第一土曜~日曜日、千葉県香取市)
■見るときのポイントと注意点
所作のみの祭りは主に神社境内の社殿や特設会場で開かれることが多く、見物場所が狭いので、祭りによっては場所とり競争が激しくなることが予想されます。
実際に田植えするほうの祭りでも、神田のまわりが見物場所となり見物できるエリアは限られてきます。さらに写真を撮るとなれば逆光・半逆光など条件の厳しい場所があるので、下見は入念に、場所とりは早めにしたいものです。
「花祭り」の見どころ
桜の咲く時期の前後に行われる祭りであり、花祭りは大きく分けて、- 豊作祈願や華道上達のための「献花祭」
- 厄よけや無病息災などを祈る「鎮花祭(ちんかさい・はなしずめまつり)」
- 釈迦の誕生日を祝う仏教行事としての「花まつり(灌仏会)」
仏教行事の花祭りは、現在の暦が導入されて以降、釈迦の誕生日である4月8日が桜の季節であることから、仏様のまわりに花を飾るようになり、いつしか「花まつり」と呼ばれるようになりました。
■祭りの具体例
<献花祭の例>
- 伏見稲荷大社献花祭(4月1日、京都市伏見区)
<鎮花祭の例>
- 大神神社・狭井神社鎮花祭(4月18日、奈良県桜井市)
- やすらい祭り(4月第2日曜日、京都市北区、今宮神社)
<花祭り(灌仏会)>
- 4月8日、全国各地の寺院で開催
■見るときのポイントと注意点
やすらい祭りなど、大規模な花まつりをのぞいては大混雑となることは少なく、写真そのものは撮りやすいでしょう。しかし、参列者が少数の、ごく身内のみの祭りで部外者がカメラを構えていると、あきらかに場違いの雰囲気を醸し出すこともあるので、しっかり祭りの趣旨を理解し、お参りするという姿勢を大事にしたいものです。
やすらい祭りは、天候などにもよるが神社境内では1時間ほど前から場所取りの人が集まります。
「山車祭り」の見どころ
豪華な山車・曳き山が街を練り歩く祭りです。その街が豪華な山車を作り上げるほどの栄華を誇っていたこと・伝統をしっかりと受け継いでいることを表しています。起源や意味合いは、各祭りに応じて様々です。■祭りの具体例
- 高山祭(4月14~15日、岐阜県高山市)
- 高岡御車山祭(5月1日、富山県高岡市)
- 長浜曳山まつり(子供歌舞伎)(4月13~16日、滋賀県長浜市)
■見るときのポイントと注意点
絢爛豪華な山車がすごく絵になるので、写真の撮り甲斐があります。
一般的に見どころも多く、開催エリアの広い祭りが多いので、宮入時など一部をのぞき場所取りが熾烈になることはないものの、スケジュールと祭りマップを見ながら動きの計画を練っておきたいところ。山車の巡行路をあらかじめ知っておくと先回りができて穴場発見に役立つでしょう。
からくり人形やお囃子・郷土芸能などの奉納が山車で行われることも多いので、ビデオ撮影も面白いでしょう。