日本の祭り

「十日戎」で商売繁盛を!由来や場所・2019年日程は?

「えべっさん」とも呼ばれる「十日戎(読み方:とおかえびす)」は、大阪・京都・兵庫などで開催される有名な商売繁盛のお祭りです。神社境内では「商売繁盛で笹もってこい」の掛け声がエンドレスで鳴り響き、商売繁盛を祈願する人で賑わいます。十日戎とはどんな行事か、由来や開催場所、2019年の日程、どう楽しめばいいのかを解説します。

山本 哲也

執筆者:山本 哲也

日本の祭りガイド

関西の名物祭り「十日戎(とおかえびす)」とは?

毎年1月10日、そろそろ初詣の時期が終わろうとする頃、関西では「えびす神社」と呼ばれる神社が一年で最も賑わう時期です。
西宮神社

福男が有名な兵庫の「西宮神社」

「十日戎(とおかえびす)」「えべっさん」と呼ばれ、神社境内では「商売繁盛で笹もってこい」の掛け声がエンドレスで鳴り響き、商売繁盛を祈願する人でにぎわう行事。関西以外では耳慣れないが、大阪・京都・兵庫など関西各地にある戎神社で行われます。

十日戎とはどんな行事か、どうお参りし、どう楽しめばいいのか。本記事では、それらをまとめて解説していきたいと思います。
 

「十日戎」は「えびす講」の一種

「えびす講」とは、えびす様を祀り豊漁や商売繁盛を祈願する祭礼で、関西の「十日戎」だけでなく全国的にみられる行事。関西以外のえびす講は、新暦もしくは旧暦の10月20日か、11月20日前後に行われることが多いです。

なかでも関西の十日戎以外で有名なえびす講が、東京都中央区日本橋にある寶田恵比寿神社で10月19~20日に行われる「べったら市」、長野県長野市にある西宮神社で11月18~20日に行われ煙火(花火)大会で有名な「長野えびす講」、広島県広島市にある胡子神社で11月18~20日に行われる「胡子講」であり、いずれも商売繁盛を祈願した行事です。

関西、とりわけ大阪では江戸時代より、商売繁盛を願う商人たちが今宮戎神社へ参拝したことが、現在の十日戎の始まりになったとされています。
 

2019年の十日戎の日程は? 開催場所はどこ?

十日戎が行われる大規模で有名な神社は、

今宮戎神社(大阪府大阪市浪速区)(最寄り駅:南海今宮戎駅)
西宮神社(兵庫県西宮市)(最寄り駅:阪神西宮駅)
堀川戎神社(大阪府大阪市北区)(最寄り駅:地下鉄南森町駅・JR東西線大阪天満宮駅)
京都ゑびす神社(京都府京都市東山区)(最寄り駅:京阪祇園四条駅)

の4つで、それぞれ期間中、多数の人が訪れます。
 
今宮戎神社

今宮戎神社

 
堀川戎神社

堀川戎神社

他にも、服部天神宮(大阪府豊中市)、野田恵美須神社(大阪市福島区)、堺戎神社(堺市)、布施戎神社(東大阪市)、ねや川戎神社(寝屋川市)、柳原蛭子神社(兵庫県神戸市兵庫区)などでも十日戎が行われ、それぞれの地元のひとで賑わいます。

十日戎の日程は基本的に毎年同じで、新暦の1月9日が「宵(よい)えびす」、翌1月10日が「本えびす」、1月11日が「残り福」と呼ばれ、3日間にわたって行われる神社が多い。

※「京都ゑびす神社」では1月8~12日の5日間行われます。

続いて、縁起物である笹から、十日戎の名物行事までご紹介!
 

商売繁盛の縁起物「福笹」を求めよう

十日戎ではまず、本殿にお参りしたあと、商売繁盛のお守りとして「福笹」の授与をうける(購入する)のが基本とされています。関東の方には、「『酉の市』の熊手」のような存在だと言えば想像しやすいかもしれません。

福笹は境内の社務所や特設授与所などで、あらかじめ選抜された「福娘」によって授与されます。他の多くの戎神社では、このように笹に「吉兆(きっちょう)」とよばれるお飾りがつけられた状態の福笹が、初穂料千円~5000円程度で授与(販売)されていることが多いです。
 
福笹

福笹(写真は西宮神社のもの)

今宮戎神社だけは特殊で、まず本殿横にある「福笹授与所」で笹だけを授与され(無料)、その笹をもってお好みの吉兆を選んで福娘につけてもらい、吉兆の分だけ初穂料をお支払いするという仕組み。

おおむね、3~5個くらいの吉兆をつけてもらうことが多く、できれば商売の発展につれて、年々吉兆を増やしていくのが粋とされています。
 
福娘に吉兆をつけてもらう

福娘に吉兆をつけてもらう

 
吉兆のお値段

吉兆のお値段(今宮戎神社・2015年のデータ)

 

十日戎の関連行事

十日戎の行事のなかでも有名で大がかりなのが、今ではテレビで全国生中継される西宮神社の開門神事と、今宮戎神社の宝恵駕籠行列(ほえかごぎょうれつ)。
 

西宮えびす・開門神事(十日戎開門神事福男選び)

十日戎への参拝一番乗りを目指して走ったのが始まりとされていて、1月10日早朝6時から開始になる開門神事。朝6時に神社の表大門が開かれ、前夜から外で待っていた参拝者が一番福を目指して境内を走り抜け、約230m離れた本殿へと最も早くたどり着いた人がその年の「福男」になります。三番福までを勝ち取った人は、豪華副賞が授与され、ニュースや神社境内で公表され、その年一年、様々な神社の公式行事に呼ばれることに。

女性も参加可能で、女性が一番福を勝ち取ると福娘ならぬ「福女」となりますが、未だかつて福女に選ばれた人はいないようです。今まで福男の多くは、消防署員か高校・大学の陸上部員など体力と脚力に自信のあるアスリートが多いのだとか。

参加方法は、1月9日22時に、神社南側にある成田山駐車場へ集合、場所割り抽選のくじ引きを行います(先着1500名)。1月10日午前0時に抽選の結果発表で、門前の最前列に立つ108名が選ばれ、そのなかから事実上、福男が選ばれることに。三番福までに入れなくても、先着5000名には「開門神事参拝之証」が授与されることになっていますが、最近では開門神事にそれ以上の参加者数がいるとか。

境内は滑りやすく危険なので、陸上競技にふさわしい服装と靴が必要で、コスプレやかぶり物などは不可(抽選に参加できない)。こちらの看板に、参加方法のルールがあります。参加方法やルールが変更されることもあるので、最新の詳しい参加方法は神社にお問い合せを。
 
西宮神社undefined開門神事

西宮神社 開門神事のあらまし



今宮戎神社 宝恵駕籠行列

地元の芸者が神社に参詣したことから始まったとされ、心斎橋付近から戎橋・道頓堀を経て日本橋でんでんタウンを南下し、今宮戎神社までを、福娘・芸者・有名人などがかごに担がれて練り歩く行事。例年1月10日の午前9時頃から始まり、正午くらいまでには行列一行が今宮戎神社に到着します。

※2019年の宝恵駕行列コースや通過予定時刻など、詳細はこちら
http://www.imamiya-ebisu.jp/h31gyouretu
 
今宮戎神社undefined宝恵駕籠行列

今宮戎神社 宝恵駕籠行列


お商売をやっていなくても、サラリーマンでも自由業でも、お金を稼ぐ必要のある人はだれでも祈願したいもの。ぜひ地元の十日戎やえびす講で、商売繁盛を祈願しましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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