インバル(指揮) ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(ノヴァーク版第2稿)』
巨匠指揮者の一人、インバルと都響によるブルックナー第4番「ロマンティック」の登場です。インバルは、パワー溢れるサウンドでオーケストラをドライヴし、揺るぎない構築感を作り上げていきます。都響の重厚な弦の響きと、輝かしい金管楽器群が音楽に深みを与え、至高のブルックナー・サウンドとなりました。現代最高のマーラー指揮者でありながら、最高のブルックナー指揮者でもあるインバルの真骨頂を、ぜひお聞き下さい。
■ガイド大塚の感想
版は原典版ではなく、一般的なノヴァーク版第2稿を使用。比較的速いテンポで自然に音楽を進め、出すところでパワーを放出。冗長なイメージは全くなく、インバルらしく細部にこだわり、リズムの強調なども意思を持って行われ、強靭な構築感で迫る。都響も最大限のパフォーマンスで応え、圧巻の力強いブルックナーを生み出している。
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エリシュカ(指揮) ブラームス:交響曲第2番、他
おくれてきた最後の巨匠、ラドミル・エリシュカ、ブラームス交響曲全集第2弾の登場。エリシュカは1931年生まれ、ヤナーチェクの愛弟子バカラに師事。冷戦時代、海外演奏活動においては共産圏を主体に活動。西側への演奏会を受け持ったノイマンらと知名度の点で随分水をあけられるかたちとなってしまっていました。まさに「遅れてきた」真の名匠のゆえんと申せます。その力強く雄渾な音楽で聴き手を集中させるブラームスはやはり聴きものです。
■ガイド大塚の感想
たっぷりと豊潤な響きで満たす。懐の深い、温かな音楽。弦を鳴らせ歌わせる、巨匠の優しい響き。こういうのはやはり真似できるものではない。尖った音は皆無で、冒頭の「魔弾の射手」から森に誘われるよう。老齢とは言えテンポは特に遅くなく、ブラームスの終楽章などでも推進力あり、やわらかく大きな音楽を作っている。
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ホルヌング(チェロ) ハイドン:チェロ協奏曲第1番&第2番、アザラシヴィリ:チェロ協奏曲
21歳で難関のドイツ国際音楽コンクールで優勝し、同世代のチェリストの中で最も将来を嘱望されているマキシミリアン・ホルヌング。チェロの名曲・ハイドンの2つの協奏曲に、ジョージア出身のアザラシヴィリ(1936年生)のチェロ協奏曲を収録。作曲者の前で弾いて以来ホルヌングにとって最重要なレパートリーとなっている作品で「ショスタコーヴィチ、ストラヴィンスキー、 メシアンとフランス音楽を併せ持つような作品」。共演は、アバドとともにマーラー・チェンバー・オーケストラを創設したアントネッロ・マナコルダ指揮するカンマーアカデミー・ポツダム。
■ガイド大塚の感想
軽やかで、ハイドンなど貴公子然とした演奏。初演の場に居合わせたような、新鮮な印象を与えてくれる。旋律は歌のよう。上から下まで均一に朗々と歌い鳴らし、揺れ幅の大きいビブラートも印象的。当たり前なのだろうが、速いテンポでの難しい移弦なども全く意に介せず軽々と十分に鳴らし、旨味がとにかく強い。オケのキビキビとした清清しい伴奏ともよく一致し、明るく爽快だ。
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レナエルツ(ハープ) 近代ハープ協奏曲集
アンネーレン・レナエルツはベルギー生まれ。23歳にしてヨーロッパ全土で最高のハーピストと認められ、2010年12月にウィーン・フィルのソロ・ハーピストに任命。数々の国際コンクールで優勝を果たし、2011年にベルギーでの「クララ賞」を受賞しています。彼女はまだ27歳ですが、近代の最も重要な、グリエール、ジョンゲンのハープ協奏曲とロドリーゴの「アランフェス協奏曲」ハープ版を録音。彼女の深い音楽性、色彩豊かな温かい音色など、絶妙なる演奏は、ハープという楽器の魅力を最大に引き出した演奏といえるでしょう。
■ガイド大塚の感想
後期ロマン派の、熟れた桃のような甘さに満ちたアルバム。一人でオケと渡り合う表現の多様な演奏で、旋律の凛とした部分などすがすがしく端整な美しさ。アランフェス協奏曲はやはりギターを感じるし、1枚通して聴くと、ハープの魅力に十二分に満たされる。