『あめつちだれかれそこかしこ 1』青桐ナツ著(マッグガーデン、617円)(c)青桐ナツ
めちゃくちゃ掃除したくなる漫画って!?
漫画はお好きですか? 中には、好きすぎて、集めたコミックスの片づけに悩んでいる方もいるかもしれませんね。ガイドも漫画は大好きです。今回ご紹介するのはなんと、めちゃくちゃ掃除がしたくなる漫画、『あめつちだれかれそこかしこ』。ムクムク意欲が湧いてくるその内容とは……。そして著者青桐ナツ先生の特別インタビューも!
どんなお話?
【あらすじ】両親を亡くし天涯孤独の少年・青司。施設から高校に通う彼のもとに、その存在を知らなかった祖父の訃報が届く。ただ一人の孫である彼に、祖父は一軒の古い平屋を遺していた。そこで一人暮らしを始める青司だが、無人のはずの家には謎の住人たちがいて……人ならぬ者たちと暮らす少年の、家をめぐる不思議な物語。読みながら、掃除したくてムズムズ…
ジャケ買いした本書を初めて読んだ直後の感想は、「やばい! 掃除したいーー!!」
でした。
この漫画、めちゃくちゃ掃除がしたくなるんです! それも、ものすごい勢いで!
お片付けや掃除のやり方を紹介する、ハウツー漫画ではもちろんありません。物語は、青司が亡き祖父の家で出会う「神々(というには若干カジュアルな)」との関わりの中で、変化し成長していく様子を描いていきます。その過程に、掃除が一つの役割を演じるのです。
煤けた古民家を掃除する高校生
初めて足を踏み入れたとき、青司が受け継いだ家は散らかり、煤け、荒れ果て、何ともいえない淀んだ空気が漂っていました。その空気を変えるために、青司はひたすら片付け、掃除をし、家を整えていきます。すると、家は少しずつ生気を取り戻し、本当の姿を見せ始めます。代々そこに住みつき、家を守ってきた神々が姿を現わし、青司と奇妙な同居生活を送ることになります。ヒゲの中年「年神」、おかっぱの子ども「納戸」。二柱の「神」と暮らし始める青司はこれから…?(c)青桐ナツ
神様との楽しい!? 同居生活
同居する神は二柱。一方の「年神(としがみ)」はヒゲの中年、もう一方の「納戸神(なんどがみ)」はおかっぱの児童という姿です。ものも食べるし体温もあるし、言いたい放題の自由さ。その人間らし過ぎる存在感で、青司に「家をきれいにしておけ!」と主張します。「汚れた場所では神の威力が衰え、よからぬ者たちが集まってくるから」です。やる気が出るシーンはコレ!
最も魅力的な掃除シーンは、放置されていた神棚を拭き清めたり、お札を祀ったりすることによって、次第に家が浄化され、明るく心安らぐ空間になっていくところ。なんだか、自分も浄化されていく気分になります。ガイド自身は、スピリチュアルやオカルトに興味がありませんが、これは、部屋に花を飾ることとまったく同じ効果があると思いました。つまりは、家の中心を美しく保つことで、暮らしをリスペクトするということでしょうか。
このくだり、とっても清々しくて、読むと掃除したい欲が一気に湧いてきますよー! おすすめ!
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