大和ハウスが犬と共生するためのオープンハウスを開設
さて、日本ペットフード協会がまとめた「平成26年(2014年)全国犬猫飼育実態調査」によると、2014年10月現在で全国で飼育されている犬は約1035万頭、猫は約996万棟にのぼるとされています。合計すると、2000万頭以上が飼育されているわけです。一方、総務省の統計によると、平成27年(2015年)1月1日時点で、日本の人口は約1億2702万人、このうち子ども(0~14歳)は約1621万人となっています。つまり、犬・猫の飼育頭数が、子どもの人口を上回っているという状況です。
そうした事実と共に注目すべきなのは、犬や猫などのペットが、今や家族同様の存在として私たちの暮らしの中に重要な位置づけとなっていることではないでしょうか。「ペットロス症候群」なんていう言葉があるくらいですから。
ですので、住まいづくりの中で、人間だけでなくペットにとっても暮らしやすい住宅にするという考え方が定着しました。そんな中で、今回の記事では基本的に「犬と暮らす」ということに着目して話を進めていきます。
さて先日、私は大和ハウスのオープンハウス「犬と暮らすまちなかジーヴォ」を取材してきました。以下がその概要です。
所在地=埼玉県川口市東川口1-17-12
商品名=「xevo(ジーヴォ)03」
構造=軽量鉄骨増3階建て
延べ床面積=119.88平方メートル
この建物は、ペットブロガーの穴澤賢(あなざわまさる)氏のアドバイスを受けて、設計・デザインされたもの。「いぬ飼いとしてこんな住宅が欲しいという意見を示した、私と大和ハウスのガチンコの企画」(穴澤氏)だそうです。
重要視したのは床材と階段の段差
基本的な建物の構成は1階に主寝室と浴室などの水回り、2階はLDK、3階には子ども部屋が配置されているかたちとなっていました。重視したのは「床材と階段の段差」だといいます。これは犬の安全や健康を配慮したため。床材は通常使われる素材の多くが犬にとって滑りやすく股関節を痛めやすいため、滑りにくい素材を独自に開発、採用したそうです。
階段も同様に滑りやすく事故が起きやすいため、踏み板や蹴込みをコルク貼りとし、階段の傾斜を緩やかにした上で段差も低くするという工夫を施していました。このようにすることで、老犬であっても階段の上り下りをしやすくしていました。
庭には、芝生を貼ったドッグランも作られていました。取材当日は穴澤氏の愛犬「大吉」君と「福助」君も来ていて、彼らが元気よく走り回っていたのが大変印象的でした。
このほか、動線なども犬と暮らすための配慮がみられました。1階の浴室スペースは、庭にあるウッドデッキとドッグランにつながり、犬の出入りや体を洗うのに便利な空間となっていました。
ちなみに「まちなかジーヴォ」とは地域密着型のモデルハウスのこと。建築後しばらく公開され、その後、希望される方に売却するシステムとなっています。住宅地の一角や分譲住宅地の中に建てられるケースが多いです。
リアルサイズの建物に住まいづくりの特徴や提案が盛り込まれます。今回の建物は犬との共生が主要なテーマとなっていますが、それ以外のことに関心がある方にとっても参考にできることが多いと思います。
次のページでは、写真をご紹介しながら、「犬と暮らすまちなかジーヴォ」に盛り込まれた工夫を具体的にみていきます。