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稀にみる低レベルの大混戦で「セ界の終わり」か?

いまセ・リーグでは、全チームから貯金が消えるという、まさに「セ界の終わり」とも呼べる異常事態が起きている。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

セ界の終わり?

全チーム貯金0は、開幕から60試合以上紹介した後としては、史上初となる出来事。

全チーム貯金0は、開幕から60試合以上紹介した後としては、史上初となる出来事。

まさに異常事態と言っていいだろう。6月23日、巨人が東京ドームでDeNAと対戦し、DeNAが7対2と逆転勝ちし、連敗を12で止めた。長野で行われた阪神対広島は、6対6で、延長12回規定により引き分けとなった。岐阜で行われたヤクルト対中日は5対3でヤクルトの勝ち。

この結果、「セ界」に信じられない出来事が起こった。

首位・巨人が35勝35敗となり、この瞬間にリーグの全チームから貯金が消えた。これは、開幕から60試合以上消化した後としては史上初だ。また、首位・巨人から6位・広島までは2.5ゲーム差。

60試合以上消化した時点で、1位から6位のチームが3ゲームというのは1973年9月1日にあったが、2.5ゲーム差は初めてである。

もう少し詳しいところに触れると、巨人が35勝35敗、阪神が33勝33敗1分けで勝率はともに5割。セ・リーグはアグリーメント(申し合わせ)で優勝球団決定方法について、勝率1位の球団が2球団以上となった場合、最も勝利数の多い球団、としている。

シーズン途中の扱いはアグリーメントに明記されていないが、順位決定には同じ方法を適用する。そのため、同率だが、巨人が1位、阪神が2位となった。


「セ界」の低レベルな大混戦、原因は交流戦か

この低レベルでの大混戦は、セパ交流戦で、セ・リーグがパ・リーグに17も負け越したことが原因とされている。かつては「人気のセ、実力のパ」と呼ばれ、一時は拮抗したが、また最近「実力のパ」の傾向が強い。実力派のいい投手がパ・リーグのチームにドラフトされていることが多いことが理由のひとつに挙げられている。

いずれにしても、12連敗を喫したDeNAはもちろんだが、急激にチーム力が低下した巨人も見逃すことができない。今季最多の貯金9に到達したのが6月4日のオリックス戦(東京ドーム)だった。そこから2勝11敗で、一気に貯金を使い果たしてしまった。今月は5勝11敗で、早くも月間負け越しが決定。これは2012年4月以来の屈辱となった。

「こういう勝率(5割)の中で、このところの勝率で、(現実を)しっかりと受け止めるというところ。貯金をこれから1つでも2つでも増やしていく。現実をしっかりと直視してつなげていくことが大事」

原監督は淡々とした口調だったが、表情は硬い。何しろ11敗のうち、逆転負けが7試合。好調を支えてきた投手陣に疲れが見える中、打線は低調のままでカバーできていない。

「野球というのはこういう時こそ安全にいってしまう傾向がある。失敗を恐れない攻撃的なプレーに1人1人が徹するということでしょうね」。リーグ3連覇中というセ界王者ということを忘れ、守りの姿勢を打ち破ることに活路を見い出そうとしている。果たして……。
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