野点(のだて)はカジュアルな赤い野点傘で遊び心いっぱい!
茶道では、「野点(のだて)」という野外でお茶を点てることもあります。またの名を「野外の茶会」とも言い、緑豊かな野外に緋毛氈(ひもうせん)を敷いて、赤い野点傘(のだてかさ)をさしかけます。そんな野点の魅力は、堅苦しくなく、自然を楽しみながらお茶をいただけるとこ。現在でも、都内の公園などで野点を行うところは数多くあります。
野外と室内でのお茶会の茶道具・作法の違い
野外と室内での茶会の違いは、道具と作法にあります。室内のお茶会では、掛軸や花入など、ただお茶を点てる道具以外のものが必要ですが、野点の場合は、お茶を点てる道具のみでもOK。そのため「旅箪笥」や「茶箱」、「茶籠」といったお茶を点てる道具を運ぶのに便利な棚や箱、籠といったものがあります。加えて、お茶の道具を傷つけず、便利に持ち運べるように、茶筅(ちゃせん)や茶巾(ちゃきん)には筒におさめるようなものもあります。
現在では、この「茶箱」や「茶籠」とセットで道具も揃った状態で手に入れることができますが、自分の好きな茶道具を集めて組み合わせることも楽しみのひとつです。 なお、野点の作法では茶室での作法のすべては必要ではありません。茶書「南方録」には、「定法(じょうほう)なきゆえに定法あり」と記されているように、お客様をもてなす心を一番として柔軟に対応をすることが大切であるとされています。
野点の原点は千利休
野点は古くは「野掛」(のがけ)、とも呼ばれていました。「野掛」とは、食べ物を持って野山に遊びに行く、いわばピクニックのことを指します。「南方録」によれば、天正15年に豊臣秀吉の九州平定という戦いにお共をした千利休が、現在の福岡市東区である箱崎の松原でお茶をたてたことが「野点」の始まりだといわれています。
そして、その年に豊臣秀吉が主催した北野大茶湯(きたのだいさのえ)という野点では、茶人のノ貫(へちかん)が茶室を設けて、あかい傘をたてて行いました。
さらに、近代になると立礼棚(りゅうれいだな)を使った野点もあり、時代によっても野点は変容していきます。 現代では、茶道のピクニックとして水筒にお湯を入れたり、茶道具を籠バックに入れたりと野点をカジュアルに楽しむ方もいます。
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