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分譲住宅地でなぜ「街びらき」イベントが行われたのか(2ページ目)

良質な分譲住宅には必ず良いコミュニティがあるものです。では、どのようにコミュニティの形成が行われているのでしょうか。今回はこのことからより良い分譲住宅の見分け方に迫ります。小中学校の跡地が分譲住宅地として開発されているユニークな事例も紹介します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

住宅が様々な個性を主張すると統一感が失われ、景観を美しく保つことができなくなります。それを防ぐために景観協定が設定されるわけですが、この分譲住宅地では以下のような取り組みが行われていました。

景観協定などルールを設ける狙いとは

  • 屋根のカラーをオレンジ色で統一
  • 外壁は2種類のサイディングを使用
  • 灯りのいえなみ協定 
街の様子

「オランジェ新松戸」の街区の様子。屋根の色や素材が統一されているが、建物形状や外壁の貼り方を工夫することで、「同じような建物ばかり」という感じではない

屋根の色は、「オランジェ」(英語でオレンジ)をイメージしたもの。外壁は2種類ですが建物の形状を変えサイディングの張り方が工夫され、同じような建物が並んでいるようには感じられないよう配慮されていました。

「灯りのいえなみ協定」というのは、各住棟の周囲を門灯やガーデンライトでライトアップするという取り決めのこと。夜間も分譲地内を美しく演出する上、セキュリティ面の効果もあるといいます。

このほか、建物の用途は一戸建て、つまり賃貸住宅などは建てられない、物置の位置にも景観に配慮するという決まり事があり、駐車スペースやバルコニーにも設置基準が設けられています。

もしかしたら、ここまで読まれた方は「ルールがたくさんあって生活するのが大変そう」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、住むということには義務や責任が必ず発生します。

それは戸建てであれ、マンションであれ、賃貸住宅であれ基本的には同じです。簡単な事例ではゴミ出しのルール。どんな住居に住むのであっても、必ず守るべきことが何かしらあるわけです。

特に持ち家は皆さんの資産。その価値をできるだけ下げないようにするため、維持管理を含め様々な取り組みが必要になります。ましてや、多くの人たちが共に暮らす分譲住宅地です。そこに居住する人たちに一体感がないと、分譲地全体の資産価値は保てません。

高齢になった時の視点でも検討してみよう

逆にいえば、1区画でもルールを守らなければ資産価値を維持できない可能性があるということです。ですから、景観協定のようなルールづくりがあるのです。

子育て配慮

モデルハウスの内部の様子。LDKに隣接するスペースにはコルクの床材が貼られているが、これは小さな子どもが転んでも大きなケガにつながらないようにするための配慮だ

そもそも、分譲住宅地において住まいを取得するケースでは、まずコミュニティを共にする人たちを事前に知ることができません。にもかかわらずその方々と、何十年も関わり続けることが必要になります。

ですが、今回紹介したような分譲地では、住民の間に少なくとも景観協定などのルールに合意しているという共通の価値観があり、それが住み始める前にわかっているわけです。

事業者がコミュニティの形成を促す仕掛けを用意していることも含め、そのあたりは皆さんにとってメリットと感じられる部分となるのではないでしょうか。

ところで、最後に建物そのものについても言及しておきます。この分譲住宅地は「若い世代を呼び込む」ため、子育てに配慮した仕様を取り入れているのが特徴です。

この分譲地そのものはほぼ完売した状況ですが、一角にモデルハウスが用意されており、それを見学されると子育て配慮住宅のトレンドを確認できると思います。

私は分譲住宅を見学する際に、必ず階段が安全な作りであるか、2階トイレにもトイレットペーパーなどを収納できるスペースが設けられているかチェックします。

そこに事業者の住まい手への配慮が表れるからですが、このような基本的なポイントはクリアされていました。なぜ、このようなことを指摘するかというと、住まいは子育てばかりを重視してはダメだからです。

皆さんが年を取り身体が不自由になっても安全、快適に暮らせるように配慮されていなければいけません。今回のような中・大規模の分譲住宅の場合、子育て期の家族が集まっており、同じように年齢を経ていくわけです。

そうなった時、皆さんの住む住宅地は管理がしっかりとされているでしょうか。もし、売却する際、資産価値が保たれているでしょうか。そんなことも是非考慮に入れて分譲住宅を検討して頂きたいと思います。
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