雰囲気も合わせて楽しめるクラシカルアドベンチャー
まずトライアンフ スクランブラーですが、ドゥカティのそれと比べると、エンジンフィーリングがマイルドな点に好感を抱きました。中低速、そして高速域と、いずれもクセのないライドフィールが魅力的で、飛ばさずに楽しむバイクだと実感しました。実際、そこそこの車重(234kg)に対して前後サスが伸ばされているので、あまりの高速域となるとストロークが大きくなり、やや安定感を欠く場面も。
ただ、ハイスピードを楽しむのではなく、ゆるやかな速度で走りながら風景を愛でるためのモデルとして仕上げられているので、飛ばすこと自体がナンセンス。それでいて車高がしっかり設けられているので、高速道路などのロードトリップはもちろん、多少の未舗装路でも難なく走れちゃいます。
とすると、やはり万能型アドベンチャーモデルとして捉えるのがベストでしょう。それこそ後ろにキャンプ道具などのツーリングアイテムを積載し、北海道や九州まで行ってキャンプツーリングを楽しむ。そう、ロードモデルとしての顔を持ちながら、大自然のなかがもっとも似合う旅バイク、それがトライアンフ スクランブラーです。
現代のストリートシーンに映えるモダンスポーツ
そしてドゥカティ スクランブラーですが、トライアンフとは対照的にスポーティなライディングが魅力のひとつ。特にハイウェイ走行のときに感じましたが、サスペンションやブレーキ、ホイールなどスポーツライドに必要なハイグレードパーツでまとめられているので、そこそこのスピードでコーナーに飛び込んでもカチッとした足まわりが安定感を生み、スポーツバイクに乗る喜びを味わわせてくれます。エンジンをはじめ、ライディング性能自体はモンスター796と遜色ないわけですから、当然のハイパフォーマンスと言えるでしょう。
1962年にドロップしたスクランブラーのノスタルジックなイメージを引き出しつつも、現代のストリートシーンに映えるモダンなデザインでまとめたビジュアルにも注目したいですね。スクランブラー用グッズにも見られるとおり、ジェットヘルメット&ゴーグルに普段着という着こなしが似合うのがこのスクランブラーというモデル。そもそも伊ドゥカティ本社がイメージしたのがアメリカ・サンフランシスコのビーチなどですから、納得のデザインというわけです。
ドゥカティ スクランブラーが似合うシーンは、やはりストリート。入り組んだ都会をクイックかつスポーティに走り抜けるのを存分に楽しませてくれること間違いなし。
名前は同じながら、その中身と遊び方はまるで異なるふたつのスクランブラー。好みも含め、自分に合ったスクランブラーを手に入れれば、それぞれの遊びの世界に大きな幅をもたらしてくれることでしょう。
【スクランブラー各モデルのインプレッション記事】
>> ドゥカティ スクランブラー 試乗インプレッションを読む
>> トライアンフ スクランブラー 試乗インプレッションを読む
ふたつのスクランブラー スペック&メーカー希望小売価格
[DUCATI SCRAMBLER SPECIFICATIONS]
全長/2,100 - 2,165 mm
全幅/845mm
全高/1,150mm
ホイールベース/1,445mm
シート高/790mm
車両重量/
[Icon & Full Throttle]186kg
[Urban Enduro]192kg
[Classic]192.5kg
エンジン型式/L型2気筒 2バルブ デスモドロミック 空冷
排気量/803cc
燃料タンク容量/13.5L
フロントタイヤ/ピレリ製MT 60 RS 110/80 ZR18
リアタイヤ/ピレリ製MT 60 RS 180/55 ZR17
【メーカー希望小売価格(消費税込)】
[ROSSO DUCATI] 999,500円
[ICON 62YELLOW] 1,014,500円
[FULL THROTTLE] 1,199,500円
[URBAN ENDURO] 1,199,500円
[CLASSIC] 1,199,500円
(2015年6月現在)
[TRIUMPH SCRAMBLER SPECIFICATIONS]
全長/2,213 mm
全幅/860mm
全高/1,202mm
ホイールベース/1,500mm
シート高/825mm
車両乾燥重量/234kg
エンジン型式/空冷DOHC並列2気筒270°クランク
排気量/865cc
燃料タンク容量/16L
フロントタイヤ/100/90-19
リアタイヤ/130/80-17
【メーカー希望小売価格(消費税込)】
[ツートーン] 1,388,880円
[ブラック] 1,350,000円
(2015年6月現在)