ナイロビで人気のシェルドリックスファームとは
シェルドリック野生動物基金は、密猟によって親を失った仔ゾウや、群れとはぐれてしまったゾウの赤ちゃんなどを育てている動物保護団体です。活動の目的は、孤児になってしまった赤ちゃんゾウを育て、野生に返していくことですが、施設で保護している仔ゾウ達は一般にも公開されていて、その愛くるしい姿を間近に見ることができます。
場所はナイロビ国立公園の一角。入場ゲートはジラフセンターやカレンブリクセン博物館など、観光スポットが集中するンゴング地区に近く、効率良くナイロビの1日観光に組み込めます。
保護団体の名はThe David Sheldricks Wildlife Trustですが、施設は“シェルドリックスファーム”の名で親しまれています。タクシーで行き先を告げるときは、この名前で。
1日1時間だけの見学タイム
もともと観光施設ではなく保護施設のため、観光客が入場できるのは1日1時間のみに限定。ゾウ達を小屋から出し、ミルクを与える11時から12時の食事タイムが一般の人に向けて公開されています。観光客や地元の人々、校外学習の子供達など200人近い人がその1時間に集中し、混雑するので、少し早めに到着したほうがいいでしょう。
時間になると、10頭ほどの仔ゾウが飼育員に連れられて登場します。しばらくの間、ゾウ達は哺乳瓶のミルクに夢中ですが、そのうち砂浴びを始めたり、仔ゾウ同士じゃれあったりして遊び始めます。ゾウとの間にはロープが張られますが、好奇心旺盛なゾウが近寄ってきたり、時にはゾウの体に触れられるほど接近してきますよ。
第1グループの食事タイムが終わると、第2グループ。再び10頭ほどの仔ゾウが現れます。孤児が多いときは3グループが続いて現れることもあります。
絶滅危惧種アフリカゾウの現状
絶滅が心配されるアフリカゾウ。一説では、あと10年もしないうちにアフリカからゾウがいなくなってしまうとも言われています。
アフリカゾウが数を減らしている主な原因は、象牙を狙った密猟。この施設の仔ゾウ達が孤児になった原因も、密猟により親を失ったというケースが圧倒的多数。ケニア政府は象牙の密猟、密輸の撲滅キャンペーンをたびたび実施していますが、なかなか減らず、近年施設に運ばれてくる仔ゾウも急増しています。そして悲しいことに象牙の密輸先は、日本も例外ではありません。
シェルドリックスファームの入場料は、この施設を運営するために使われています。多くの人に入場料を支払ってもらうことで、孤児ゾウたちを野生に返す活動ができるのです。
アフリカゾウの里親制度
シェルドリックスファームの入場時間は1日1時間のみに限定されていて、その時間に多くの見物人が殺到しますが、実は少人数でゆっくりゾウと触れ合える方法があります。
それは、孤児の里親になること。入場料は日本円でおよそ500円ですが、プラスして50ドルの寄付をするとゾウの里親になることができ、“お母さん”は仔ゾウ達が小屋に戻ってくる時間に、施設に再入場することが許されます。この時間は里親しか入場できないので、見物人は数十人。施設にいるすべての仔ゾウ達が草原から小屋に戻ってくる時間に立ち会うことができます。
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■Sheldricks wildlife trust
場所:ナイロビ国立公園内
入場時間:11時~12時
入場料:500ksh
※里親は17時からも入場可能。要予約。