人間の生活の基本である「衣・食・住」の「住」。中でも住宅に焦点を当てたこの展覧会は、戦後の1950年代から始まり、万博を経て建築家の眼差しが強く内部に向けられるようになった1970年代までに焦点を当て、その間に発表された、現代の日本を代表する16人の建築家による16の住宅で構成されています。
世界的に見ても特異な環境から発展を遂げた戦後日本の住宅。その中でも最も熱い視線が注がれた時代の住宅作品を同時に眺めてみることで、現代に住む私たちに新たな「住」の視点を見出す機会を提供してくれます。
本展は昨年7月に埼玉県立近代美術館から始まった巡回展の最後となります。この機会に是非お出かけください。

会期:2015年6月14日[日]~7月20日[日・祝]
10:00~19:00 入館は18:30まで
休館日:月曜日(ただし7月20日[月・祝]は開館)
観覧料:一般500円(400円)学生(小学生以上)・65歳以上250円(200円)
( )内は15名以上の団体料金 土曜日小中学生無料 未就学児無料
会場:八王子市夢美術館 (八王子市八日町8-1 ビュータワー八王子2F)
問い合わせ先:八王子市夢美術館 TEL.042-621-6777
主催:(公財)八王子市学園都市文化ふれあい財団 読売新聞社 美術館連絡協議会
監修:五十嵐太郎(東北大学教授)
[塔の家]から始まる16の名作住宅
会場はビュータワー八王子の2階にあります。エレベーターを降りると、床に張られた東孝光の自邸[塔の家]の原寸大の平面図が出迎えてくれます。それぞれの住宅は、高さ2mを超えるタペストリー(大型写真)、現存する貴重な設計図面と竣工写真、全国の建築系の大学が製作に携わった50分の1と30分の1の模型、3分から11分のビデオ映像、そして建築家のマニフェストによって構成され、そのコンセプトを分かりやすく表現しています。
(白井晟一[虚白庵]には模型とビデオ映像、宮脇檀[松川ボックス]にはビデオ映像はありません)

1. 東孝光[塔の家](1966年)の原寸大の平面面。奥は竣工当時の外観と模型。

2. 丹下健三[住居](1953年)の模型。背後は丹下がデザインした椅子。
3. 清家清[私の家](1954年)の模型と外観と居間。
右のタペストリーは増沢洵[コアのあるH氏の住まい](1953年)の内部。

4. 白井晟一[虚白庵](1970年)の客室。
5. 石山修武[幻庵](1975年)の模型と内部。

6. 磯崎新[新宿ホワイトハウス](1957年)の2つの模型とアトリエ内部。
7. 坂本一成[水無瀬の町家](1970年)の外観と、伊東豊雄[中野本町の家](1976年)の2つの模型が向かい合う。

8. 菊竹清訓[スカイハウス](1958年)の模型と2階内部。
9. 篠原一男[白の家](1966年)の模型と広間。

10. 黒川紀章[中銀カプセルタワービル](1972年)の全体模型とカプセルの模型とカプセルの内部。
11. 安藤忠雄[住吉の長屋](1976年)の大型模型(10分の1)と外観。

12. 原広司[原邸](1972年)の2つの模型と、背後は毛綱毅曠[反住器](1972年)の内部。
13. 宮脇檀[松川ボックス](1971・1978年)の居間と模型。
関連書籍も出版
本展の内容を網羅した書籍も販売されています。建畠 晢氏、五十嵐太郎氏、伊豆井秀一氏のエッセイや、16人の建築家が発表したマニフェストや論考に加え、時代を映した詳細な年表も掲載された充実した内容になっています。本展をより詳しく知りたい方は、ぜひご購読下さい。
戦後日本住宅伝説 ー挑発する家・内省する家
制作・発行:株式会社新建築社
監修:五十嵐太郎
編集:埼玉県立近代美術館 広島市現代美術館 松本市美術館 八王子市夢美術館
判型:221x297mm 168頁
定価:2,000円(本体1,852円)