子供を叱る効果を激減させてしまう……親の間違った思い込みとは?
親は子供が困った行動をすると叱ります。その叱り方は誰に教わったわけでもないのに、いつのまにか身についていますよね。自分の親から学んだやり方を続けている方もいるでしょうし、逆に、親の叱り方が嫌だったから、反面教師となって別の叱り方をしているという方もいるでしょう。これ以外にもう1つ、私たちの叱り方のテンプレートになっているものがあります。それは、”強い力には強い力で返すべき”という発想。私達には生まれつき、こういう意識が身についています。それもそのはず、人類はそうやって生き抜いてきたのですから。しかし、心理学の研究が目覚ましく発展している昨今、本能の赴くまま強く叱ってしまうと、逆効果であることが分かってきました。
叱っても効果がない原因は、親のある思い込みが関係しています。叱るシーンにありがちな親の勘違いをここで3つご紹介しましょう。
<目次>
子供への間違った叱り方1:叱れば、言う事を聞く
子供は叱られたから、言うことを聞くのではありません。「え、そうじゃないの?」と思うかもしれません。子供は正しい行動を教えてあげることで、言うことを聞くようになります。よくある叱り言葉をピックアップすると、
「いいかげんにしなさい」
「まったく何をやらせてもダメなんだから」
「また! 何度言ったら分かるの」
どれを見ても、困った行動や態度への苦情ばかりで、「じゃあ何をすればいいのか?」が盛り込まれていません。困った行動を「ダメ」と否定するだけでは、正しい行動を学べません。子供は動きたくても動けない状態です。
子供への間違った叱り方2:言うことを聞かない時は、もっと強く叱る
親は子供に言い聞かせたくて強く言います。強く言われた子供は、自分の意思を通したくて反逆します。ママが強く言う⇒子供はそれを上回る強さで反撃⇒「それならば!」とママはさらにパワーアップ⇒当然、子供はもっとパワーアップ……。
このように、自分の意思を通すために、相手以上のパワーを出すことで、自分の意思を通そうとしてしまいがちです。
しかし結果的には、言うことを聞かない”頻度”も”パワー”も増強されてしまうのです。言うことを聞かせたいあまりに大声で怒鳴ったはずなのに、もっとひどくなってしまっては目も当てられません。叱る際に、大きな怒鳴り声は不必要。効果がないばかりか、悪化させてしまうことになります。
子供への間違った叱り方3:その場できちんと説明すれば伝わる
叱っている場面で、とくとくと説明しても、実は効果がありません。実際に、アメリカの叱り方研究でも、叱っている最中に、時間をかけて説明するのは悪循環とさえ言われています。例えば、テレビを消さない子の横で、ママが長々とお説教している間、その子はずっとテレビをつけたままでいられるのですから。言語を習得中の子どもにとって、ママが伝えたいニュアンスをそのまま受け取り、しかも行動に移すのは難しいもの。言うことを聞かないのではなく、言われていることが分からないというケースは実は非常に多いのです。
子供に「もっと○○になってほしい」そんなときの叱り方のコツ
私達は子どもの困った行動に遭遇すると、「叱る」だけで対処してしまいがち。でもそもそも「叱る」という行為単独では、子どもの困った行動をなくすことはできないことが心理研究で分かってきています。では、どうすればいいのでしょうか?
実は、「叱る」は、「ほめる」と並行使いすることで効果が出るのです。正確には、ほめることと併用しないと、叱ることの効果は得られないとも言われています。これは単純に、叱られるとモチベーションが下がる、ほめられるとモチベーションが上がる、という人間の心理によるもの。
「でも叱るシーンで、ほめることなんてないんですけど……」
いえいえ!そんなことはありません。よく見れば、小さな「ほめポイント」はたくさん潜んでいるんです。
例えば、
「食事の後半になると、食べ物で遊び出して困る」
としましょう。ここでのほめポイントは前半にあります。遊び出すのは後半。ということは、前半はちゃんと食べている。その瞬間を見逃さずにほめていきます。
「上手に食べれているね」
「ごはんで遊んでいない! ママ嬉しいな」
子供の遊び食べに悩むママは、遊び始めた後に注意を向けてしまいがち。でもいい状態のときに注意を向け、しかもポジティブな言葉をかけてあげると、するするっと進み、結果的に叱る必要もなく食事終了ということも。
人間は、ほめられるとそれに見合う自分になろうとするもの。事が起こる前に、ほめて軌道を作ってあげるのは、とても有効な方法です。
「子供の○○な行動をやめさせたい!」 そんなときは、悪い行動を撲滅しようとせずに、いい行動を育てていくことで、結果的に○○が撲滅されます。
100%の出来を求めて叱るより、たった10%でも出来ているところからほめて育てていく方が実は早道なのです。
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