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アンドリス・ネルソンス 未来の大巨匠指揮者の魅力(3ページ目)

アンドリス・ネルソンスは、まだ36歳ながら、世界の最前線で活躍する、今最もホットな指揮者の一人。情熱的な演奏の特徴や経歴、オススメの録音などをご紹介します。

大塚 晋

執筆者:大塚 晋

クラシック音楽ガイド

アンドリス・ネルソンスのおすすめ録音

アンドリス・ネルソンスの現在出ている録音からオススメのものを厳選してご紹介します。

チャイコフスキー:交響曲第4番、幻想曲『フランチェスカ・ダ・リミニ』

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集中的に録音されているチャイコフスキーの中でも、とにかく燃焼度が高いライヴ演奏で、高い集中から生まれる破綻の無さと統率力に驚かされる。表現はここでも劇的。交響曲第4番はチャイコフスキーが不幸の底にあった頃に書かれた曲ならではな絶望感と、そこからの勝利に向かう力強さがある曲だが、妥協しないテンポの加速とそれに応えて鉄が赤くなるように加熱するオーケストラが素晴らしい。繰り出されるメロディーの歌心ある美しさも絶品。オーケストラと最良の関係にあるからこそ可能な、生き物であるクラシック音楽演奏の醍醐味を伝えてくれる。ダンテの神曲を題材にした『フランチェスカ・ダ・リミニ』も物語がイメージできるような圧倒的な名演。
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ストラヴィンスキー:『火の鳥』(1910年版)全曲、『詩篇交響曲』

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魔王カスチェイの魔法がかけられた森で「火の鳥」を捕まえ、その力でカスチェイを倒す、という寓話的筋書きを極彩色のオーケストレーションで書いたバレエ曲だが、冒頭の低弦の集中力の高い不気味かつ神秘的な表現から、もうおとぎの国に連れていかれる。特にバレエを知っていればいるほど、火の鳥が羽ばたく際に炎の粉が舞う様子や、カスチェイの不気味な動作など、色鮮やかに劇的に感じられる。捕らわれている王女たちが、迷い込んだ王子にあった際の踊りも喜びと恥じらいと絶望のバランスが精緻。聴いていて場面が頭に浮かぶ視覚的な演奏。『詩篇交響曲』も圧倒的迫力の合唱が一度聴くと忘れられない必聴の内容。
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リヒャルト・シュトラウス:『ばらの騎士』組曲『英雄の生涯』

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R・シュトラウスもほとんどのオーケストラ作品が録音されている。オペラ好きの彼の『ばらの騎士』組曲はさすが愉悦と薫り高い気品に満ちた表現。オーケストラの艶やかさは心から音楽を愛し「楽しくて仕方ない」といった感じのネルソンスらしい丁寧な指揮だからこそ生み出されるもの。『英雄の生涯』は冒頭からオーケストラの各セクションの鳴らしっぷりがまず見事。複雑で曖昧にもなりがちなスコアを明瞭に聴かせてくれる。「英雄の敵」の各楽器のフレーズの断片の明瞭さ、「英雄の伴侶」のとろける美しさ、「英雄の戦場」の迫力、大団円での巨大な音楽と、魅力に満ちている。
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その他、旧ソ連に生まれたこともあり、ネルソンスにとって大事なレパートリーでもあり、有名な戦争行進曲の引き締まって更に煽る興奮させられ具合がすごいショスタコーヴィチの交響曲第7番『レニングラード』や、人気ピアニストのエレーヌ・グリモーを迎え、盛り上げつつがっしりとサポートしたブラームス『ピアノ協奏曲第1番、第2番』など、そのどれもが注目すべき録音です。

ぜひ、今をときめく彼の深く熱い演奏を聴いてみてください。
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