優先株による増資?
2015年5月14日(木)、シャープ<6753>は増資を発表しましたが、一般的な公募増資ではありませんでした。増資の内容は、A種種類株式(2000億円)の発行とB種種類株式(250億円)の発行でした。特にA種種類株式に着目します。A種種類株式は、みずほ銀行が100,000株(1000億円)、三菱東京UFJ銀行が100,000株(1000億円)を引き受けます。シャープとしては合計2000億円調達するわけですが、この金額はそのままみずほ銀行からの借入金1000億円の返済と、三菱東京UFJ銀行からの借入金1000億円の返済に充てられます。
シャープ側から見れば銀行借入金が資本金に振り替わることになりますし、銀行側から見ればシャープに対する貸付金が株式に振り替わることになります。
この増資によって、シャープの資本金は2000億円増えます。2015年3月末の純資産が445億円でしたから、これに2000億円が加わって、純資産は2445億円まで増加すると考えられます。これだけの純資産があれば、債務超過になるリスクがだいぶ遠のいたように受け止められます。投資家も、増資がないときに比べれば、安心してシャープ株を売買できることでしょう。
銀行側から見れば、窮境に陥っているシャープに追加で融資するのは、なかなか難しいでしょう。しかし、今回のような増資であれば、銀行側は追加で1円もお金を出さなくてよいので、まだハードルは下がります。そして、シャープが債務超過を免れることで、銀行としても貸付金の回収可能性が高まることが期待できるわけです。