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今シーズンのJリーグ、“真のストライカー”は誰だ(2ページ目)

J1リーグの得点ランキング上位に、日本代表候補選手がズラリと名を連ねている。高いレベルで競争は歓迎すべきだが、ストライカーの評価は得点の数だけではない。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

勝負強さを見せつけているのは誰か?

今シーズンのJ1リーグへ目を移そう。

5月16日の第12節終了現在で、J1リーグの得点ランキングには日本代表候補が名を連ねる。23歳の宇佐美貴史(ガンバ大阪)が10ゴールで首位を走り、30歳の豊田陽平(サガン鳥栖)が9得点で続く。さらに、32歳の大久保嘉人(川崎フロンターレ)、22歳の武藤嘉紀(FC東京)が、8ゴールで追随する。

宇佐美は先制点と追加点が目立つ。

「同点で終盤を迎えたアウェイゲーム」では、5節の清水エスパルス戦でゴールネットを揺らしている。2対2の80分に彼が決めた一撃が、ガンバに勝利を呼び込んだ。スコア、時間帯ともに、価値あるゴールだった。

決勝ゴールが少ないのは、後半途中で交代することが多いからでもある。ただ、リーグ戦首位の浦和レッズとのアウェイゲームでは、フル出場したものの得点をあげられなかった。チームとしてのチャンスが少なかったとはいえ、こうした一戦でこそゴールをあげてほしいものだ

得点ランキング2位の豊田は、ここまで全12試合にフル出場している。絶対的な得点源としてチームから寄せられる信頼に、彼は結果で応えている。

5節のモンテディオ山形戦では、80分に決勝ゴールをマークした。チームは1対0の勝利をつかんだ。7節の柏レイソル戦でも、80分に1対1とする同点弾をあげている。12節の名古屋グランパス戦では、90+4分に決勝ゴールをマークした。

9節のヴィッセル神戸戦にも触れておきたい。試合開始からわずか4分に、先制点を叩き出しているのだ。チームの強みとするセットプレーから、彼自身の武器であるヘディングシュートを突き刺したのだが、高い集中力でゲームに入っているからこそ生まれた得点である。「いつ」得点をあげているかにおいて、豊田は勝負強さを見せつけている


海外移籍が噂される武藤は?

今夏のヨーロッパ移籍が噂される武藤も、「勝負強さ」を感じさせる。

ガンバ大阪との開幕戦で、彼は1対2の90+1分に同点弾を叩き出した。5節の湘南ベルマーレ戦でも、0対0の64分にチームを勝利へ導くヘッドを決めた。どちらもアウェイゲームである。

“多摩川クラシコ”と呼ばれる川崎フロンターレとのライバル対決では、1対1から決勝のヘディングシュートをゲットした。互いのプライドがぶつかり合った一戦には、4万2千人の観衆が集まった。注目度の高いゲームでしっかりと結果を弾き出すのは、優れたストライカーの条件のひとつである。

J1リーグで2年連続得点王に輝いている大久保は「いつでも、どこでも、どんな相手」でも得点できる。クロスゲームでの終盤に決勝ゴールをあげたゲームは、6節のベガルタ仙台戦だ。2対2の86分、チャンスを確実にゴールへ結びつけた。チームも3対2で勝利している。「いつ」にばらつきが見られるのは、チームとしての攻撃力が高く、彼以外にも得点能力の高い選手がいるからだろう。

攻撃の選手にもディフェンス力が求められ、守備の選手にもオフェンスの能力が問われるのが、クラブと代表に共通する現代サッカーの姿だ。ストライカーも守備を疎かにはできないが、それでもゴールを奪うのが“真の点取り屋”である。世界レベルで通用するストライカーだ。

精神的にも肉体的もに厳しい時間帯で輝ける選手にこそ、世界への道は開ける。
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