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やみつきになる邪道・大仁田厚の魅力とは(2ページ目)

今のプロレス界は「新日本プロレスのひとり勝ち」と言われていますが、そんな中で特異な存在感を見せているのが大仁田厚です。大仁田は電流爆破マッチで90年代半ばに一世を風靡しました。その大仁田人気がここにきて再燃。電流爆破マッチをメーンにした「花火」シリーズは常に満員になります。昨年はプロレス大賞の敢闘賞にも選ばれました。一体、大仁田の何が人々を惹きつけるのでしょうか?

小佐野 景浩

執筆者:小佐野 景浩

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技術を越えた大仁田の人間力が熱い空間を生む!

「UWFが関節技で”これが本物のプロレスだ”ってリアリティを表現していたから、それに対抗したっていうのもある。関節技が実際にどれだけ痛いのかなんて普通の人にはわからない。でも有刺鉄線に引っ掛かれば痛いっていうは誰でもわかる。その痛み、流れる血ほどリアリティのあるものはないよね。爆弾は非現実的なんだけど、爆発っていう視覚効果もあるからいいんじゃないかって」と大仁田。

90年8月4日、レールシティ汐留で初めて行ったノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチは観客、マスコミ関係者の想像を越える凄まじいものでした。耳をつんざくような爆発音と同時に飛び散る爆弾の破片、そして立ちのぼる煙。「何で、そこまでするんだ!?」、「もうわかったから、終わらせてくれ!」という悲鳴にも似た声が客席のあちこちから上がりました。この試合を機にFMWの名前は日本全国に知れ渡り、大仁田は「涙のカリスマ」としてプロレスの枠を超越した時代の寵児になったのです。

その後、大仁田は天龍源一郎、長州力らのトップスターとも電流爆破マッチを敢行。01年7月の参院選に当選して06年まで政治活動を行っていたために、この間はプロレスラーとして目立った活躍はありませんでしたが、12年からタイガーマスクに対戦を迫り、曙と電流爆破マッチをやるなど精力的に活動を開始。電流爆破マッチを主軸にした『大花火』シリーズは日本全国で話題を呼び、今年からは『超花火』シリーズにグレードアップしました。

この『超花火』にグレードアップするのに際して爆破王なるタイトルも新設。台座は血を連想させる赤、プレート部分は墓石の素材でもある御影石を使用して、そこに金粉をまぶした豪華なチャンピオン・ベルトを作りました。プレート部分には富士山と鶴がデザインされています。残念ながら初代王者の称号は高山善廣に奪われてしまいましたが、3月21日に博多で高山を下して第2代王者になっています。

なぜ、大仁田ブームが再燃したのでしょうか? 今のプロレスラーは体をシェープアップし、技も多彩です。少なくとも日本のプロレスラーは、これ以上ないというぐらいの最高レベルと言っていいでしょう。しかし、だからこそ、昭和の匂いを醸す泥臭い大仁田がクローズアップされるのかもしれません。大仁田のプロレスは技術ではなく、情念であり、クサいほどまでの心の熱さです。大仁田厚の人間力に観客は酔い、冒頭のような空間が生まれるのです。大仁田と一緒に叫び、水を浴びて心を解放することでファンはカタルシスを得るのでしょう。

5月23日、東京・大田区総合体育館における『大江戸超花火』では大仁田厚&長与千種vsTARU&ダンプ松本の史上初の男女混合による「ノーロープ有刺鉄線電流爆破~爆破バット&電気イス四面楚歌地獄デスマッチ」が行われます。80年代に少女ファンを熱狂させた長与vsダンプが大仁田と同じ電流爆破のリングで実現するのです。

「最後の夢は、還暦で電流爆破マッチをやること」と大仁田厚。それまでの越された時間はあと2年5カ月。それまでに会場に足を運んで大仁田厚の世界を体感してみてください。きっと貴方もやみつきになるはずです!

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