医学の進歩と個々の経験が選手寿命をのばす
サッカー選手の選手寿命は以前と比べて明らかに長くなった。
Jリーグが開幕したばかりの1990年代前半は、30歳をこえたらベテランで、35歳を過ぎたら大ベテランといった認識が一般的だった。ケガの予防や治療、リハビリなどのノウハウが整備されておらず、何よりも「プロとして長くなるために何が必要なのか」を知る者が、圧倒的に少なかった。世界的にも選手寿命の長いゴールキーパーはともかく、フィールドプレーヤーで長く活躍するのは難しかった。
Jリーグ開幕から20年以上が経過した現在は、状況が大きく変わっている。
国内外で様々なゲームに出場してきた選手は、ピッチ内ではチームメイトの生かしかたや対戦相手との駆け引き、ピッチ外では年齢に応じた身体のケアなどを身に付けていく。彼ら選手を支えるメディカルスタッフも、様々なケガに対処することで知見を深めていった。その結果として、選手寿命がのびているのだ。
日本代表としてW杯に出場した中澤佑二(37歳/横浜F・マリノス)、中村俊輔(36歳/横浜F・マリノス)、小笠原満男(36歳/鹿島アントラーズ)、遠藤保仁(35歳/ガンバ大阪)らは、いまなお国内の第一線でプレーしている。コンディションとモチベーションを高いレベルで維持する彼らの自己管理能力は、高く評価されるべきである。
豊富な経験と実績を持つ彼らは、Jリーグで唯一無二と言ってもいい存在感を放っている。しかし、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の日本代表には選出されていない。