子どもをつくろうよ
ガイド:オープニングの「コインロッカーベイビーズ」は、コインロッカー幼児置き去り事件を題材にした村上龍の小説タイトルがモチーフになっているかと思いますが、内容的にはアーバンギャルド的少子化対策のようにも聞こえてしまいますが、どうなんでしょう?
松永:
この現代において、リアルなものに触れる瞬間はあるのだろうかと思い詞を書きました。iPhoneの液晶に触れることは出来ても、世界自体に触れ、感じることが出来る瞬間なんて、滅多に無いのではないか。インターネット20年と言いますが、僕はこのコンピューターというハコ、コインロッカーにも似た筐体に閉じ込められた子供たちを液晶の外へと解放してあげたかった。或いは自分自身を、世界に触れさせてやりたかった。二次元的な恋が溢れる現代日本で、リアルに触れるために相手に発する一言が、僕にとっては「子どもをつくろうよ」でした。恋を愛に変えて、ラヴ・ソングというよりプロポーズ・ソングとして、この詞を書いたんです。
コインロッカーベイビーズ (YouTube)
ガイド:
作曲の方は、よこたんはコラボという形で挑んでいますね。
浜崎:
作曲に関しては、今回アーバンギャルドでは初の試みでプロの作曲家の方とコライト(共作)させてもらいました。ご縁があって、J-POP界のヒットメーカーの大智さんと一緒に作りましたが本当に刺激的な体験をさせてもらえて、楽曲も作っているそばからゾクゾクしながら作っていました。誰もが知っている超メジャーのアーティストさんたちの楽曲を作っている人と、こういうマイナーなバンドのボーカルが組んでどうなるのかと思っていましたが、それは杞憂でした。引き合わせて下さったディレクターさんが「容子と大智は違うタイプに見えるけど実は自分の中では凄く共通しているものがあると感じてた」と仰られていて。新しい血が注ぎ込まれる感覚を感じましたね。
反戦歌
ガイド:「原爆の恋 」…「ピカピカピカピカドンドンドン」で歌い始めるこの曲。「ピカドン」、ちょっと古い世代では、原爆の呼び名。あからさまなメッセージはないものの、アーバン流に表現されていますね。そういう意味では、トラウマポップと言えるのではないでしょうか?
松永:
この歌は、反戦歌のつもりで書きました。原爆や原発は人間の手に負えないものだと考えています。向こう見ずな恋のように。我々はそれに翻弄されてはならないし、恐れずに対峙していかなければならないのです。
浜崎:
この曲を作るにあたって、メンバー・スタッフ・関係者と何度も何度も議論してきました。それでもこの曲を出したかった。過去に議論の対象となった楽曲同様、それだけの覚悟をもって作った曲です。