テクノポップ/アーティストインタヴュー

アーバンギャルドの地下出版

やはりアーバンギャルドは、ロシア・アヴァンギャルドだった! 5月2日から全国ツアー「アーバンギャルド 2015 春を売れ! SPRING SALE TOUR」をスタートしたメンバー全員にツアーでしか買えない地下出版『少女KAITAI』について、その真意を伺いました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

アヴァンギャルドとアーバンギャルド

ガイド:
今回は、アーバンギャルドとしてのインタヴューですが、天馬さんには『天才てれびくん』について前回いろいろお話を伺いました。アーバンの話に行く前に、ひとつお伺いしたことがありました。天馬さんは、ロシア文学を勉強していたんですよね。僕は、ここ1、2年ほど「共産テクノ」というテーマで、ソ連を含んだいろいろな共産主義時代のテクノポップ~ニューウェイヴ掘り起こし運動をしているんです。

ロシア~ソ連というのは、ロシア・アヴァンギャルドの精神というのが20世紀初頭からあって、ロシア・アヴァンギャルドの代表となる構成主義とテクノポップというのは、時代は違うものの、近未来的、記号的、幾何学的、ミニマリズム等の世界観を共有していると感じています。アーバンギャルドというバンド名にもそのあたりが被るんですが、天馬さんはその辺りについてどのようにお考えでしょうか?

『天才てれびくん』とテクノポップの深いカンケイ (All About テクノポップ)
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アーバンギャルド


松永:
アーバンギャルドはアバンギャルド(前衛)とアーバン(都市の、都会の)のカバン語でして、当然ロシア・アヴァンギャルドは念頭にございます。共産主義というのは見果てぬ夢、見果てぬ未来にして我々がついぞ辿り着けなかった思想であり、テクノポップが描く見果てぬ未来の青写真と相性がいいのでしょうね。

僕は東京湾岸の埋め立て地で生まれ育ち、まだ開発される前のお台場や豊洲の吹きっ晒しになった空き地を目に焼きつけて育ちました。あの座礁した未来みたいな、廃墟のような街並みに都市の裏の部分、虚構を見せつけられ、同時に惹かれたのだと思います。アーバンギャルドは都市の裏側に回り、その舞台装置のハリボテを明らかにするメディアです。それは同時に少女という虚構的な存在や、人間の本質を明らかにする芸術としても機能します。
temma

松永天馬


「少女三部作」を解体

ガイド:
新作のタイトルは、『少女 KAITAI』。これは、『少女は二度死ぬ』『少女都市計画』『少女の証明』からなる「少女三部作」の番外編のようにも思えますが、「KAITAI(解体)」とは、既存のものを解体したロシア・アヴァンギャルドの精神にも通じますね。

松永:
ロシア・アヴァンギャルド繋がりで言えば人間を解体したテクノグループもいましたね。我々はこの作品によってかつてインディーズ時代にインディーズ精神を謳歌し制作した少女三部作を解体します。同時に、虚構的存在である少女に新たな命を懐胎させるのです。
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