介護

リハビリの要「意欲(やる気)」を持続させるには?

脳卒中や骨折などにより日常生活に介護が必要になっても、適切なリハビリを正しく継続すれば「要介護状態」を改善させることができます。その成果をより高めるために知っておきたい3つのポイント。今回は「意欲(やる気)」編です。

執筆者:中山 奈保子

リハビリの成果を高めるコツ3つ:「意欲」編

在宅リハビリ

自ら掲げた目標に向かって、家族や専門職と協力しながらリハビリを進めていきます。

リハビリを進めていく上で「意欲(やる気・モチベーション)」についての問題は、その成果を左右する最大のテーマといっても過言ではありません。特に、自宅を中心に行われるリハビリ(在宅リハビリ)では、いかにして本人の意欲を高め持続していくかが、生活の自立度だけではなく生活全体に対する満足度(主観的幸福感)に影響を与えます。病院や老人保健施設に居る間は、専門職がしっかりとプランをたててリハビリ指導を行ってくれますが、自宅では、自ら選んだ目標に向かっていくために試行錯誤する力が欠かせません。

前回記事:リハビリの成果を高めるコツ3つ:「生活技能」編


目標に向かう力「意欲」を高めるには?

幼い子供であれば、周囲の大人が何か「ご褒美」を約束したり、たくさん「誉める」ことで意欲を上手く引き出せるかもしれません。それが、大人や高齢者の場合ではどうでしょうか。…以下に「自分から」目標に向かう力を高めるためのコツを3つ紹介します。


1)自分の身体についてよく知っていること

今の自分にできることは何か、できないことは何か。何が得意で、何が不得意か。腕をどの高さまで挙げると痛みが出現するのか。等々、リハビリを行う際は、自分の身体についてよく知っておくことが大切です。

リハビリ専門職

自宅で行う運動の方法がわからない時は、理学療法士や作業療法士などの専門職に相談しましょう。

歩行訓練を例に挙げれば、何メートルを何秒で歩けるかといった数値で捉えるだけではやや不十分です。脚力、椅子からの立ち上がり、歩き始めの姿勢、一歩踏み出した時のバランス、歩幅等々「部分的にでも」より詳しく知っていた方が達成度や次の課題を見出しやすくなります。

自分一人では難しいという場合は、訪問看護ステーションや地域包括支援センターなどに在籍する理学療法士や作業療法士等の専門職に相談すれば、自分の身体がどんな状態か知ることができます。また、専門職が同様の目的で使用する指標として、以下の1~3に挙げるようなチェックリストまたは簡易検査法がインターネットで配信されていますので、それらを活用するのも良いでしょう。

  1. バーサル・インデックス(日常生活の自立度をチェック)
  2. 片脚立位時間(下肢筋力・バランス等のチェック)
  3. Time up and go test(移動能力の総合評価・指標)


2)「これだ!」「間違いない!」と思える方法で動く

例えば、ダンスの振りを覚えようとする時。練習を始めたばかりの頃は、お手本のビデオを見ながら、何となくぎこちなく「これで合っているのかな!?」と不安になりながら手足を動かします。何度か練習しているうちに、手本通りの動きになり、音楽にもピッタリ揃うようになれば気分壮快!

……リハビリを目的で行う運動では、ダンスの例でいう「気分壮快!」に至ったところで、最高の成果を得ることができると言われています。

つまり「この方法で大丈夫かな…成果は出るのかな」と不安に思いながら行う運動では、あまり成果を期待することができず、「これで大丈夫!」と確信を持って行う運動では、期待以上の効果を発揮する可能性があるのです。


3)似た目標を持った「仲間」と一緒に運動する

仲間と取り組む運動

仲間と一緒に取り組めば、お互いを励まし合うことができます。

英国の研究機関が実施した調査では「同じ目的を持つパートナーと運動に取り組む」ことで、その運動を継続しやすくなることが明らかになっています。全く同じ目的を持っている必要はありませんが、病気や障害、居住地域、年代など出来るだけ似た境遇を持った仲間の方が打ち解けやすいかもしれません。仲間同士サポートし合う関係は、リハビリを意欲的に継続していく上で掛け替えのない心の支えとなるでしょう。


次回はリハビリの成果を高める3つのコツ最終回、「環境(家族サポート)」についてお伝えします。

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