介護と仕事の両立のために、事業主が講じるべき措置
介護をする労働者が仕事と介護を両立するため、さまざまな制度が定められています
育児・介護休業法および厚生労働省告示には、労働者が要介護状態となった家族を介護するために申し出た場合、事業主は大きく3つの措置や配慮を講じるように定められています。
介護と仕事の両立のための「時間外労働の制限」
事業主は労働者からの申し出があった場合、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、1カ月について24時間、1年について150時間を超えて時間外勤務をさせないように定められています。■対象者
要介護状態(負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の対象家族を介護する労働者
ただし、以下のような場合は対象外。
- 日々雇用されている
- 勤続1年未満
- 週の所定労働日数が2日以下
- 配偶者
- 父母、子、配偶者の父母
- 祖父母、兄弟姉妹、孫
請求できる回数に制限なし
■制度を利用できる期間
1回の請求につき1カ月以上、1年以内
詳しくは、厚生労働省による「家族介護を守う労働者の時間外労働の制限(PDF)」もあわせてご覧ください。
介護と仕事の両立のための「深夜労働時間の制限」
事業主は労働者からの申し出があった場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、午後10時から午前5時までの間は労働させないように定められています。■対象者
要介護状態(負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の対象家族を介護する労働者
ただし、以下のような場合は対象外。
- 日々雇用されている
- 勤続1年未満
- 介護ができる同居の家族がいる ※
- 週の所定労働日数が2日以下
- 所定労働時間の全部が深夜にある
※「介護ができる同居の家族」とは、16歳以上で、以下の1~3のいずれにも該当する者をいう。
- 深夜に就労していないこと(深夜の就労日数が1カ月につき3日以下の者を含む)
- 負傷、疾病又は心身の障害により介護が困難でないこと
- 産前産後でないこと
■介護の対象となる範囲
- 配偶者
- 父母、子、配偶者の父母
- 祖父母、兄弟姉妹、孫
■制度を利用できる回数
請求できる回数に制限なし
■制度を利用できる期間
1回の請求につき1カ月以上、6カ月以内
詳しくは、厚生労働省の「家族介護を行う労働者の深夜業の制限(PDF)」をご覧ください。
介護と仕事の両立のための「所定労働時間の短縮措置」など
事業主は労働者からの申し出があった場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、以下のいずれかの制度を適用するように定められています。- 週または月の所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)
- フレックスタイム制度
- 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ(時差出勤の制度)
- 介護サービスを利用する場合、労働者が負担する費?を助成する制度その他これに準ずる制度
■対象者
要介護状態(負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の対象家族を介護する労働者
ただし、以下のような場合は対象外。
- 日々雇用されている
- 勤続1年未満または週の所定労働日数が2日以下で、労使協定で対象外と定められている
- 配偶者
- 父母、子、配偶者の父母
- 祖父母、兄弟姉妹、孫
3年間のうち2回以上(回数は事業主が定める)
■制度を利用できる期間
1回の請求につき、93日間まで
詳しくは「対象家族の介護のための勤務時間の短縮等の措置(PDF)」および「介護のため、短時間勤務をしたい場合」をご覧ください。
期間雇用者やパートタイムで働く人が利用できる制度も
介護と仕事を両立するためには、今回紹介したような制度を賢く使いこなすことが重要です。「会社にそういう規則が定められていない」と不安に思う方もご安心を。これは労働者として当然の権利であり、会社の制度として決められていなくても、事業主はこうした制度の利用を拒否することはできません。
また、契約期間の定めのある従業員(期間雇用者)や、パートタイムで働く人でも、契約内容によってはさまざまな制度を利用することが可能です。下記のページなどで、自分がどんな制度を利用できるか確認してみましょう。
両立支援の広場のページにある「私は正社員でなく、契約期間の定めがある(期間雇用者)のですが、どのような介護制度が利用できるの?」などにも詳しく解説されています。